住宅会社にとって「SEOは主戦略ではない」──成果を出すために知っておくべき現実と活用法

2025.04.30 | ナレッジ

「検索で上位に出れば、きっと反響が増えるはず」

そう感じて、SEOに取り組み始めた住宅会社も多いのではないでしょうか。

しかし現実は、「半年頑張ったのに問い合わせはゼロ」、「記事を書き続けているのに反響が見えない」といった悩みの声が絶えません。特に地域密着型の注文住宅ビジネスにおいて、SEOが思うように機能しない理由は明確です。

この記事では、住宅会社が陥りがちなSEO神話を解きほぐし、より成果に直結する視点と打ち手を整理していきます。

なぜ住宅会社は「SEO=必須」と思い込みやすいのか?

多くの住宅会社が「周囲もやっているから」とか「業者に勧められたから」などと、なんとなくの安心感からSEOに手を出しています。

その背景には、Web業界特有の情報ギャップと、一般化された成功事例の錯覚があります。たとえば、ECや全国チェーンなど“商圏に制限がない業態”と、地域密着である住宅業界とでは、ユーザーの行動特性も検索のニーズもまったく異なります

「とりあえず始めれば結果が出る」という幻想を捨て、自社のビジネス構造と照らし合わせた冷静な判断が求められます。

数字で見る“地域SEO”の限界:1位になっても数件の世界

たとえば「注文住宅 ◯◯市」といったキーワード。検索ボリュームは地域によっては月に50〜100件前後にすぎません。そこから1位表示されたとしても、クリックされるのは全体の約30%、つまり月に15〜30アクセス。

しかも、その中で資料請求や来場予約に至る確率はさらに低く、月1件反響が取れれば御の字です。

一方、SEOで上位を狙うには、記事の量産・キーワード選定・継続的な改善といったコストと運用リソースが不可欠。投下した分の“リターンが見えにくい”のが、地域SEOの現実なのです。

今すぐ成果を出すなら、“狙い撃ち型”の広告施策が最適

そこで注目したいのが、ターゲットを明確に絞り込めるSNS広告やGoogle広告です。

たとえばInstagram広告であれば、年齢・エリア・家族構成といった属性に基づいて、「この週末の見学会に関心を持ちそうな層」へ直接アプローチが可能です。

また、広告施策の最大の強みは“効果の可視化”。資料請求1件あたりのコスト(CPA)や来場1組あたりの費用対効果を数値で把握し、改善サイクルを短期間で回すことができます。

「すぐに動く顧客に会える打ち手」として、広告施策は今の住宅会社にこそ最適な手法です。

それでもSEOは“不要”ではない──活かすならこの使い方

SEOに意味がないというわけではありません。ただし、使い方を間違えると「反響が出ないまま労力だけが増える」結果に終わります。

SEOは、新規流入を狙うのではなく「すでにサイトに来ているユーザーへの信頼形成」や「商談前の不安解消」という“育成フェーズ”でこそ真価を発揮します。

たとえば、営業現場でよく聞かれる以下のような疑問をブログにしておくと効果的です:

・「住宅ローン、何から始めればいいの?」
・「土地ってどう探せば失敗しない?」
・「間取りの考え方ってどう進めるの?」

こうした記事は、営業トークの補完資料としても活用でき、コンテンツが“信頼の証明”になるのです。

SEOに本気で取り組むなら、まずこの3点をチェック

SEOを始める前に、以下の3つのチェックポイントを確認しましょう。

この3つが揃って初めて、SEOは「戦略的な選択肢」として検討する価値があります。

 

1.商圏の検索数は十分か?
→ 100件未満であれば、SEO単独での流入強化は現実的ではありません。

2.ホームページの導線は整備されているか?
→ 訪問後にスムーズに資料請求や予約に進める構造になっているかを確認しましょう。

3.継続的に運用できる体制があるか?
→ 記事を作り続け、改善し続けるチームや時間を確保できるかが成功の鍵です。

まとめ:SEOは“目的”ではなく“手段”。自社にとっての意味を再定義しよう

SEOは、決して万能な施策ではありません。

「検索で上位表示させたい」ではなく、「誰に、何を、どんな意図で届けるか」から逆算して位置づけなければ、費用も労力も報われません。

広告で“今すぐ層”にリーチし、ブログで“検討層”との信頼を深め、ホームページで“予約につながる導線”を整備する。この全体設計の中でSEOを補助的に使う視点が、最も成果に近づくアプローチです。

自社の資源と商圏特性をふまえたうえで、判断すべきは「いま、何に投資すべきか」。

情報やトレンドに流されるのではなく、戦略から逆算した“確実な選択”をしていきましょう。

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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