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住宅会社のメタ広告、広告範囲の決め方。半径ではなく商圏から母数を決める

2026.09.18 | ナレッジ Web広告

住宅会社が見学会のメタ広告を出すとき、広告範囲をどう決めているか。

先に結論を書く。距離で決めるのは間違いである。同じ半径5kmでも、都市部と郊外では対象人口が10倍違う。距離を揃えても、届く人数は揃わない。

そして決める順番も、多くの会社が逆になっている。正しくはこうだ。商圏を先に決める。母数は、その結果として出てくる。そのうえで予算に対して極端でないかを確認する。

この記事では、メタ広告の広告範囲を決める手順と、母数の目安をどう考えるかを書く。計算式も出すが、電卓があれば足りる。

住宅会社のメタ広告で、広告範囲を半径で決めてはいけない理由

まず、距離で決めることの何が問題なのかをはっきりさせたい。

広告の成果は、最終的に「何人に届いたか」で決まる。ところが半径は、届く人数を教えてくれない。

政令指定都市の中心部で半径5kmを切れば、対象人口は30万人を超える。同じ半径5kmを地方の郊外で切れば、2万人にしかならない。15倍の差がある。それなのに、どちらも「半径5km」という同じ設定である。

この状態で「うちは半径5kmでやっています」と言っても、他社と比較する意味がない。数字が違うものを、同じ言葉で呼んでいるだけだ。

だから広告範囲で見るべきは距離ではない。その範囲に何人いるかである。メタ広告の管理画面では、エリアを設定すると推定オーディエンスサイズが表示される。半径を動かしながらこの数字を見れば、自社の設定が何人を対象にしているかが分かる。

まずは自社の現状を確認してほしい。いま設定している範囲が、何人を対象にしているか。これを知らないまま配信している会社が、実際にはかなり多い。

メタ広告の広告範囲は商圏が先。母数は結果として出てくる

ここが最も重要な部分である。

よくある間違いは、先に母数の目標を決めて、そこに合わせて半径を広げるという進め方だ。「10万人くらいが目安らしい」と聞いて、10万人になるまで範囲を広げる。これをやると、来場できない人にまで予算を配ることになる。

正しい順番は逆である。

  • ①商圏を先に決める——自社のお客様が実際に来られる範囲はどこまでか。車で30〜40分圏が一つの目安になるが、より確実なのは実際の来場者の居住地分布から決めることだ(次章で手順を書く)。
  • ②その範囲の母数を確認する——商圏が決まったら、メタ広告の管理画面でその範囲を設定し、推定オーディエンスサイズを見る。ここで初めて母数が出てくる。
  • ③予算に対して極端でないかを確認する——出てきた母数が、投じる予算に対して大きすぎないか、小さすぎないかを見る。極端であれば調整するが、調整するのは商圏そのものではなく、広告セット側の設定である。

この順番で進めると、地方では商圏を正しく切っても3〜5万人にしかならないケースが出てくる。それでいい。そこで「10万人にしたいから」と半径を広げれば、来場できない人に広告費を配ることになる。

逆に都市部では、半径5kmでも20万人を超えることがある。この場合は絞りすぎず、広告セット側で年齢や興味関心のフィルタをかけるほうが筋がいい。距離をむやみに縮めると、商圏内の人まで除外してしまう。

ここで一つ断っておきたい。「母数は10万人くらい」という言い方を、我々もよくする。だがこれは経験的にざっくり言っている数字であって、計算や検証から導いた最適値ではない。相談を受けたときに水準感を伝えるための、便宜的な目安にすぎない。

だから10万人に合わせにいくのは、順番が逆になる。商圏を切った結果が3万人なら3万人が正しく、20万人なら20万人が正しい。10万人という数字は、自社の設定が桁でズレていないかを確かめる当て木くらいに使えば足りる。

住宅会社の商圏は、来場者の住所をマップに落とせば分かる

では、自社の商圏はどうやって決めるのか。過去の来場者の住所を地図に落とすのが、最も確実である。

手順は難しくない。

  • 過去1年分の来場アンケートから、住所を書き出す(市区町村と町名まででいい)
  • Googleマイマップを開き、新しい地図を作る
  • 住所を1件ずつピンで落としていく。50件も打てば傾向が出る
  • 自社(またはイベント会場)を中心に、ピンの分布を眺める

これをやると、多くの住宅会社で同じことが起きる。ピンが3km前後に集中する。

想定していた商圏より、実際はずっと狭い。「半径10kmでやっています」と言っていた会社が、実際の来場者の8割が3km圏内から来ていた、というケースは珍しくない。

この作業には、もう一つの効果がある。方角の偏りが見える。商圏は同心円ではない。川や線路、山があれば人の流れは分断される。幹線道路沿いに伸びていることもある。ピンを見れば、「北側にはほとんど来ていない」「東の団地から多い」といった実態が分かる。

同心円で切るより、来場実績のある方角に寄せるほうが、同じ予算で効率が上がる。

過去のアンケートが手元にない場合は、これから溜める。来場アンケートに住所欄を入れ、1年後にこの作業をやる。それまでは車で30〜40分圏を仮の商圏として置いておけばいい。

メタ広告の予算から母数を逆算する。7万円で届くのは1万人前後

商圏が決まったら、次は予算との整合を見る。ここは計算で出せる。

見学会1回あたりの広告予算を7万円、配信期間を13日として計算してみる。

7万円 ÷ 13日 = 1日あたり約5,400円

この予算で何回表示できるかは、CPM(1,000回表示あたりの単価)によって決まる。そして表示回数を目標フリークエンシー(1人あたりの平均表示回数)で割ると、実際に何人に届くかが出る。

CPM 総表示回数 フリークエンシー3.5回時の純リーチ 母数が10万人なら到達率
1,000円 70,000回 20,000人 20%
1,500円 46,700回 13,300人 13%
2,000円 35,000回 10,000人 10%
2,500円 28,000回 8,000人 8%

住宅系の地域配信では、CPMが1,500〜2,500円あたりに落ち着くことが多い。つまり7万円で実際に届くのは、1万人前後である。

逆算式にすると、こうなる。

必要な純リーチ = 予算 ÷ CPM × 1,000 ÷ 目標フリークエンシー
適正な母数 = 必要な純リーチ ÷ 想定リーチ率(15%前後)

7万円・CPM1,500円・フリークエンシー3.5回で計算すると、約89,000人になる。我々がざっくり「10万人くらい」と言っている水準と、たまたま近い。

ただし、この近さに意味を持たせすぎないほうがいい。予算やCPM、目標フリークエンシーを少し動かせば、答えは5万人にも15万人にもなる。この式は「10万人が正しい」ことの証明ではなく、自社の予算で何人に届くのかを把握するための道具である。

そしてもう一つ、誤解しやすい点を潰しておく。この計算は「母数を10万人にすればリーチが最大化する」という意味でもない。そこは次章で説明する。

母数を絞る本当の効果は、リーチが濃くなることではない

「母数を広げるとリーチが薄まる」——こう説明されることがある。これは、厳密には起きていない。

Metaは、設定した母数の全域に均等に配信しない。2週間程度の配信期間であれば、母数のうち反応が良さそうな10〜20%の層に集中して出し切るのが通常の挙動である。

つまり、母数を10万人から5万人に絞っても、アルゴリズムはさらにその中の1万人前後に集中するだけだ。純リーチの数字自体は、あまり変わらない。

では、絞る意味はどこにあるのか。

アルゴリズムが「選ぶ範囲」を、商圏内に強制することにある。

これが本質である。母数を20km圏に設定していれば、Metaは20km圏の中から反応の良さそうな1万人を選ぶ。その中には、来場が物理的に難しい距離の人が含まれる。反応が良くても、来場にはつながらない。

母数を商圏内に絞れば、アルゴリズムは商圏内の1万人から選ぶことになる。同じ1万人でも、中身がまったく違う。

だから正しい言い方はこうなる。「10万人に絞るとリーチが濃くなるから」ではない。「その範囲が、自社の商圏だから」である。結果として何人になるかは、後からついてくる話にすぎない。

リーチ効率の話ではなく、来場できない人にムダ打ちしないための制約として理解しておきたい。この理解をしておくと、母数が3万人しかない地方でも、20万人を超える都市部でも、判断の軸がぶれない。

この予算帯では、そもそも広告の学習が回らない

もう一つ、母数を考えるうえで外せない前提がある。この規模の予算では、Metaの機械学習が本来の性能を発揮できない。

Metaの最適化は、広告セットあたり週50件のコンバージョンが一つの目安とされる。ここで自社の数字を当てはめてみてほしい。(住宅会社の無人見学会は本当に集客できるのかについてはこちら

日予算5,400円、来場獲得単価が3〜5万円だとすると、1日あたりのコンバージョンは0.1〜0.2件。週にすると1件前後である。週50件には、桁が2つ足りない。

つまりこの予算帯の広告は、学習フェーズを事実上抜けられない状態で回り続けている。

この事実は、母数の設定に対して両方向に働く。

狭くすべき理由:アルゴリズムが十分に学習できない以上、誰に届けるかは人力で担保するしかない。だから商圏と属性は、自分で絞り込む。「AIが最適な人を見つけてくれる」という前提は、この予算規模では成立しにくい。

広くすべき理由:一方で、シグナルが薄い状態では探索の余地を残しておきたい。母数を3万人まで絞ると、フリークエンシーが早期に立ち上がってCPMが上がる。同じ人に何度も表示されることになり、効率が落ちる。

絞りすぎても広げすぎても具合が悪い、という板挟みがここにある。人力で絞りきりつつ、探索の余地も残す。我々が「10万人くらい」と言うときに念頭にあるのは、この板挟みの感覚である。厳密な最適点として計算した数字ではない。

1回でリーチしきる必要はない。年間の累積で当てる

ここまでの話には、もう一段の見方がある。個人的には、この説明が一番強いと思っている。

同じ商圏で年間に何度もイベントを打つ会社であれば、1回のイベントでリーチしきる必要がない。

7万円で届くのは1万人前後。母数が10万人なら、その1割にあたる。これを「足りない」と捉えるか、「今回の分」と捉えるかで、設計がまったく変わる。

年間に見学会を8回開催するとする。毎回同じ母数に対して配信すれば、回を重ねるごとに累積のフリークエンシーが積み上がっていく。1回目に届かなかった人にも、2回目、3回目で届く。そして複数回接触した人は、社名を覚える。(指名検索を増やす発信の作り方についてはこちら

この設計にすると、母数の意味が変わる。母数とは「1回で届かせる対象」ではなく、「年間を通じて繰り返し当て続ける母集団」である。我々が「10万人くらい」と言うときに見ているのも、1回の到達数ではなく、この積み上がり方のほうだ。

だから母数は、イベントごとに動かさないほうがいい。固定して、年間で刷り込む。毎回エリアを変えると、累積が積み上がらない。

そして、この考え方は前章の学習の話とも整合する。学習が回らない予算帯では、単発の最適化に期待できない。ならば、同じ母集団に年間を通じて接触し続けることで認知を作るほうが、住宅会社の実態に合っている。

自社の数字で「想定リーチ率15%」を実測に置き換える

ここまで「想定リーチ率15%前後」という数字を使ってきた。これは目安であり、自社の実績から出したほうが精度が上がる。

やることは、過去の配信実績を並べるだけだ。広告セットごとに、次の4つを取り出す。

  • 推定オーディエンスサイズ(母数)
  • リーチ(実際に届いた人数)
  • フリークエンシー(1人あたりの平均表示回数)
  • CPM

これを1年分並べると、3つのことが分かる。

  • ①母数に対する実リーチ率が、実際に何%なのか——15%より高いか低いか。ここが分かれば、前述の逆算式に自社の数字を入れられる。
  • ②母数が大きいセットと小さいセットで、CPMとCPAに差が出ているか——差が出ていなければ、母数の設定は成果に影響していないことになる。差が出ていれば、どちらの方向が良いかが分かる。
  • ③フリークエンシーが何回を超えたところでCTRが落ちるか——ここが、母数の下限を決める材料になる。フリークエンシーが上がりすぎる前に配信を止めるか、母数を広げるかの判断ができる。

この3つが出れば、母数の水準は肌感覚ではなく、自社データから導いた数字になる。社内で説明するときも、外部に相談するときも、根拠が違ってくる。

まとめ

住宅会社のメタ広告において、広告範囲は距離では決まらない。同じ半径5kmでも、都市部と郊外では対象人口が10倍以上違う。見るべきは距離ではなく、その範囲に何人いるかである。

決める順番も決まっている。商圏を先に決め、母数はその結果として確認する。過去の来場者の住所をGoogleマイマップに落とせば、自社の実際の商圏が見える。多くの場合、想定より狭く、3km前後に集中する。

「母数は10万人くらい」という言い方は、我々もよく使う。だがこれは経験的な目安であって、根拠から導いた最適値ではない。地方で3万人にしかならないなら、それが正しい。無理に広げれば、来場できない人に予算を配ることになる。10万人は、自社の設定が桁でズレていないかを確かめる当て木として使えば足りる。

そして絞る意味は、リーチを濃くすることではない。アルゴリズムが選ぶ範囲を、商圏の中に強制することである。この予算帯では学習が十分に回らない以上、誰に届けるかは人力で担保するしかない。

最後にもう一つ。1回のイベントでリーチしきる必要はない。7万円で届くのは1万人前後。だが同じ母集団に年間8回当て続ければ、累積で商圏全体に届く。母数はイベントごとに動かさず、固定して刷り込む。

広告範囲は、メタ広告の設定項目ではない。自社の商圏そのものである。

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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