「突然来場が増えたけど、何が効いたんだろう?」
「お客様が来場する理由がわかれば、もっと打ち出しが変えられるのに…」
住宅業界の現場では、こうした声があとを絶ちません。広告やイベント、SNSなど多様な施策を展開している中で、何が本当に効果的だったのかを明確に把握できていないケースがほとんどです。
しかし実は、“来場のきっかけ”を丁寧に捉えることこそが、マーケティングの精度を劇的に高める鍵となります。
本記事では、「なぜ今このタイミングで来場したのか?」という行動の背景をどう聞き出し、それをどうマーケティングに活かすかという視点から、即実践できる3つの質問と運用の仕組みをお伝えします。
読み終えたときには、あなたの打ち出しに「根拠」が生まれ、マーケティングが“迷いのない状態”へと変化しているはずです。
住宅購入のきっかけは、属性データでは見えない“感情の変化”や“日常のささいな瞬間”に宿っています。
例えば「前から気になっていたけど、今週チラシを見て行こうと思った」といった声には、“きっかけ = 情報 × タイミング”という方程式が表れています。ここを捉えることで、広告の内容や配信時期に修正を加えることが可能になります。
さらに「母に相談したら『行ってみれば?』と言われた」などの声には、“家族からの後押し”という、つい見落としがちな影響力が潜んでいます。これをヒントに、来場促進メッセージを家族共有型にすることで成果が変わる可能性もあります。
つまり、「きっかけ」を拾うとは、生活者の行動の文脈を可視化すること。それができれば、ターゲット設定や広告表現を“感覚”から“構造”に変換することができるのです。
成果につながる“聞き方”とは、単にアンケートを取ることではありません。お客様の気持ちを引き出すには、問いの順序や温度感が重要です。
1.なぜ“今日”来場されたのですか?
この問いは、行動に至った“直前の動機”を明らかにすることができます。ポイントは「今日」という言葉。お客様の頭の中にある“行こうと思った瞬間”を思い出してもらうことで、広告との接点や家族との会話などが具体的に語られる可能性が高まります。
2.決め手になった情報や出来事はありますか?
この質問は、実際の“スイッチ”を探るものです。「◯◯の施工事例をSNSで見て」、「プレゼント特典に惹かれて」、「LINEで来場予約できたから」など、生活導線上での“行動誘発要素”が特定できるようになります。
3.来場を決めたときの状況は覚えていますか?
ここでは「感情」や「誰と一緒だったか」といった“文脈の濃度”が読み取れます。たとえば「仕事帰りにスマホで調べていた」「休日に夫婦で家づくりの話をしていた」など、そのときの空気感まで把握できれば、広告のクリエイティブや接触チャネルの見直しに応用できます。
単発のヒアリングでは偏りが出る可能性があります。時間とともにお客様の行動や心理は変化するため、“継続的なヒアリング”によって初めてトレンドや再現性の高いパターンが見えてきます。
・検討ステージが人によって違う:同じ広告でも“初見の人”と“資料請求後の人”では受け取り方が違います。来場きっかけを定期的に確認することで、どの層に今刺さっているかが見えてきます。
・生活環境や季節要因で動機が変わる:同じ「子育て世代」でも、夏は暑さ対策、冬は暖房性能に関心が向きやすい。時期をまたいでヒアリングを続けることで、より深い打ち出し設計が可能になります。
・社内でマーケティング判断を共有できる:きっかけの集積は、営業・広報・設計すべての部門にとって有益なナレッジです。属人的な感覚でなく、全社で“刺さる表現”を検証・蓄積していく文化が生まれます。
きっかけ情報を使いこなすには、現場で回る“仕組み”が不可欠です。
1.質問テンプレートの配布とトレーニング
「いつ・何を・どう聞くか」を明確にした質問シートを配布し、営業担当が自然にヒアリングできるようロールプレイを行います。「お客様が話しやすい空気づくり」までが成功要因です。
2.データ入力とタグ管理
CRMやGoogleスプレッドシートで、来場者の回答をフォーマットに沿って記録。きっかけをカテゴリ(例:SNS/チラシ/紹介/資料比較など)でタグ管理すれば、傾向が視覚化できます。
3.マーケ施策のブラッシュアップに即反映
たとえば、「YouTubeで見て気になった」という声が増えたら動画施策を強化。「母に勧められた」が多いなら“家族を巻き込む投稿”を検討。このように、ヒアリング結果を即次施策に反映するフローを定着させましょう。
住宅業界における「来場」は、営業活動の起点であり、最も濃度の高い顧客接点です。その“きっかけ”を聞くことは、「売れた理由」を解き明かすマーケティングの核心です。
感覚ではなく、構造で分析する習慣ができれば、「再現できる反響」が生まれます。ツールも特別なシステムも不要。必要なのは“問いを続ける習慣”と“共有する仕組み”だけです。
まずは、現場で「なぜ今日、この方は動いたのか?」を問い、答えを“次の一手”に変えてみてください。そこから、反響の質も打ち出しの精度も変わっていきます。