マーケティングは「作業」じゃない『目的』から逆算する力を育てる社内仕組み化とは?

2025.04.18 | インタビュー

「SNSもチラシも頑張ってる。でも反響につながらない」

そう感じたこと、ありませんか?

北海道・苫小牧で地域密着型の注文住宅を展開する大鎮キムラ建設も、かつて同じ悩みを抱えていました。

「正直、このままじゃまずいと思ったんです」

そう語ってくれたのは、同社の代表取締役・木村社長。創業60年を超える老舗ながら、若年層向けのデザイン提案やSNS施策にも挑戦し続けてきた企業です。

しかし、手を打っても成果につながらない──その根本原因は、意外にも「社内の仕組み」にありました。

今回は、マーケティングチームが“作業部隊”から“戦略チーム”へと生まれ変わったリアルな実践ストーリーを、木村社長と手塚の対話を通じてお届けします。

「数字はある。でも成果に直結しない」──マーケの“もどかしさ”から始まった変革

手塚: 当時、現場ではどんなふうにマーケティングを進めていたんですか? 取り組みの中で、課題を感じる瞬間もあったのではないでしょうか。

木村さん: そうですね。支援をお願いする前から、チラシやSNSは一通りやっていたんです。でも、何が成果につながっているのかが見えない。数字も毎月出していましたが、それが“成果”にどう結びついているのかが分からなかったんです。

手塚: 数字があるのに、判断に使えない──それは現場も困惑しますね。実際にはどんな数字を見ていたんですか?

木村さん: 例えば、チラシの配布枚数とか、SNSのフォロワー数、いいねの数ですね。でも、それを見ても「で、どうするの?」っていう会話にはならなかった。結果的に、毎月の数字を確認して終わり、になっていたんです。

手塚: 「確認して終わり」ではもったいないですね。そこから次の打ち手を生むには、やはり目的との接続が必要ですよね。

木村さん: はい。今思えば、完全に“作業ベース”でした。タスクはこなしてる。けど、その背景や目的が共有されていなかった。誰のための施策なのか、何を目指しているのか──そこが見えなかったから、やってもやっても手応えが薄かったんです。

手塚: それって結構、どの住宅会社さんでも起きがちな状況なんですよね。

木村さん: そうかもしれません。ある意味“慣れ”が怖いなと。やるべきことがスケジュールに組み込まれてるから、その通りにやる。でも、成果が出なければ意味がない。だから「このままじゃまずい」と思ったんです。目的から逆算しないと、全部が“作業”に成り下がってしまう──これは今も社内でよく出てくる反省点なんです。

ビフォーアフターで見る「成果」の違い

手塚: 支援に入らせていただいてからは、まず施策と数字を結びつけるところからスタートしましたよね。

木村さん: そうですね。特にバナー広告は、ABテストをしっかり回すようになって、明らかに反応が変わりました。以前はバナー1枚で勝負していたんですが、今では「どの文言が反応するか」「色味やレイアウトでどれくらいクリックが変わるか」まで細かく検証しています。

手塚: たしかに、バナー1つとっても、テストする視点があるかどうかで効果は変わってきますよね。

木村さん: そうなんです。ABテストをやる中で「たった一言のコピーで反応が2倍になった」なんてこともありました。以前なら気づけなかった“違い”に敏感になりましたし、それがチームの中でも共有されるようになったのが大きいです。

手塚: 週次のMTGでも「施策の結果→原因の整理→改善案の提案」というサイクルが回るようになりましたね。

木村さん: はい。たとえばヒートマップを見ながら「なぜここで離脱してるのか」「バナーの位置を変えてみよう」なんていう会話が、今では自然に出ます。以前なら考えもしなかった視点ですよ。

手塚: それが“報告会”から“戦略会議”への変化だったと思います。

木村さん: 今はレポートも自分たちで更新していますし、「どうすれば改善できるか」を前提に話すようになった。数字を“眺める”から“判断材料にする”に変わった感じですね。

チームの意識が“制作担当”から“戦略参謀”へ変化した理由

手塚: 定例ミーティング以外でも、チャットでの進捗共有やタスク完了報告が当たり前になってきましたよね。

木村さん: はい、最近は話した内容が即チャットに上がって、「完了しました」って報告が来るんです。たぶん、ミーティング中にすでにメモを取りながらタスク化しているんだと思います。スピードが全然違うし、行動に結びつく

手塚: それが“考えて終わり”から“動いて次に活かす”になった証拠ですね。

木村さん: さらに社内チャットでは、マーケチーム同士で独自にスケジュールを組んだり、成果の分解までやってるみたいで。僕が見ても内容が細かすぎてよく分からないくらい(笑)。でも、それくらい“考えるクセ”がついてきたんだなと感じてます。

外の世界を知って変わる──G-Boost勉強会での“視座の揺さぶり”

手塚: G-Boostの勉強会でも、「成果の型」を意識してコンテンツを設計しています。たとえば、“広告単価→来場率→面談率→成約率”といった指標を図解で共有した企業もありましたね。

木村さん: あれはインパクトありました。「なるほど、ここで詰まってるのか」とか「来場率が高いってことはLPの構成がいいのかも」って気づきがありましたね。

手塚: それが「なんとなく良さそう」から「数字で判断する」思考への転換ですよね。

木村さん: うちでもそれをヒントに、営業との連携用にKPI一覧シートをつくってみたんです。「今月は広告経由の来場が◯件、うち◯件が面談、成約は◯件」という流れを見える化して、営業と毎月一緒に見ています。最近では「どの媒体から受注につながったか」まで追えるようになってきました。

手塚: マーケと営業が同じ言語で話せるようになると、一気にチームの解像度が上がりますよね。

木村さん: 数字で話せるからこそ、無駄な施策を減らせる。しかも、「この施策は〇〇のためにやる」と全員が目的を理解している。こういう文化が少しずつ根付いてきたのは、G-Boostや他社の情報に触れる機会があったからこそだと思っています。

まとめ──マーケティングは“目的”から始まり、“成果”で終えるべきもの

今回の対話を通じて見えてきたのは、「マーケティング=制作」ではなく、「戦略と成果に向けて自走する組織」であるということ。

「目的に直結しない施策は意味がない」という木村社長の言葉に象徴されるように、成果を出すには、定例化・指標化・仕組み化が欠かせません。

私たちが意識しているのは、「成果を数字で捉える視点」と「それを仕組みに落とし込む土台づくり」。表現やデザインといった表層だけでなく、マーケティング活動のすべてを“目的に立ち返るフィルター”で再構築することで、継続的な成果につながっていきます。

マーケティングは、センスやひらめきではなく、仕組みで磨く技術。

“再現できる思考の型”を持ち、自社の目的から逆算して考え続ける文化を育てることこそ、これからのマーケティングに求められる本質ではないでしょうか。

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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