感覚営業から脱却せよ。住宅会社の営業電話トークを「数値で管理」して追客成果を出す方法

2026.05.13 | ナレッジ

資料請求を獲得しても、そこから来場につながらない。
電話追客は営業の「勘」に任せきりで、なぜ成果が出ないのかも分からない。

多くの住宅会社が抱えるこの壁の正体は、営業電話のトークと追客プロセスを数値で管理できていないことにある

本稿では、住宅会社の営業電話におけるトーク設計と追客管理を「行動量」「アポの質」「認知」「お断り理由」「競合情報」の5つの視点で見える化し、属人的な感覚営業から脱却するための実践的な管理手法を解説する。

 

感覚営業に頼る住宅会社の追客が成果を出せない3つの理由

「あの営業マンは追客がうまい」
「彼女は電話のトークがいい」

住宅会社の現場でよく聞く評価だが、その「うまさ」を分解して説明できる経営者・マネージャーは少ない。ここに最大の問題がある。

感覚営業から抜け出せない住宅会社には、共通する3つの構造的な課題がある。

第一に、追客の成果が個人のセンスに依存しており、再現性がないこと

第二に、何が成果を分けているのかが数値化されておらず、改善の打ち手が打てないこと

そして第三に、営業マンごとの傾向の違いが見えないため、教育もマネジメントも場当たり的になることである。

たとえば資料請求からの来場率が15%の会社と30%の会社の差は、トーク内容そのものよりも、追客プロセスのどこに数値の差があるかを把握できているかどうかで決まることが多い。
「来場率を上げよう」と精神論で叫ぶのではなく、架電数・着電率・アポ率・お断り理由といった指標に分解して見える化することで、ようやく改善が始まる。

本稿で扱うのはまさにこの「分解と見える化」の手法である。

 

追客成果を測る4つの軸——営業電話の質はこう評価する

感覚営業から脱却するには、まず「成果とは何か」を定義しなければならない。
住宅会社の営業電話における追客成果は、以下の4つの軸で評価することを推奨する。

1つめは「行動・アポ量」。架電数、着電数、アポ獲得数といった行動の総量である。

2つめは「認知数」。電話の冒頭で、相手が自社をどれだけ認知していたかを測る指標である。

3つめは「お断り理由」。アポに至らなかった顧客の断り文句を分類し、傾向を分析する。

4つめは「競合情報」。検討中の他社、比較対象として挙がる会社名を記録し、商圏内のポジショニングを把握する。

このうち多くの住宅会社が手をつけているのは「行動・アポ量」のみで、残りの3軸はほとんど管理されていない。
だが本当に追客の質を上げたいのであれば、後者の3軸こそが鍵となる。お断り理由が見えれば改善点が分かり、認知数が見えれば事前の集客施策の効果が測れ、競合情報が見えれば営業電話のトークで差別化すべきポイントが明確になる。

成果を「アポが取れたかどうか」だけで判断している会社は、自社の営業電話の何が効いていて何が効いていないのかを永遠に把握できない。4軸での評価は、追客マネジメントの土台である。

 

営業電話で重視すべきは「行動量」と「アポの質」の両輪

電話追客で成果を出すために、現場が意識すべき指標は突き詰めると2つしかない。行動量とアポの質である。
この2つは車の両輪であり、片方だけが回っても意味がない。

行動量とは、シンプルに架電数のことである。
住宅会社の営業電話では、1時間あたり15コールを一つの基準とする。これを下回る場合は、リストの絞り込みが甘いか、1件あたりの記録作業に時間をかけすぎているか、そもそも架電すること自体を後回しにしているかのいずれかである。
1日2時間の架電タイムを設けるなら、30コールが最低ラインとなる。

しかし、ただ件数を稼げばいいわけではない。
架電してもつながらなければ意味がないため、追客の場合は着電率10%以上を目標とする。これは「電話を10件かけて1件はつながる」という水準で、リストの鮮度や架電時間帯によって大きく変わる。また、つながったうえでアポにつながった割合を示す着電アポ率は25%以上が目安となる。
つまり、つながった4件のうち1件はアポにできるトーク設計が必要だということだ。

行動量が確保できていても、アポの質が低ければ来場にはつながらない。ここで重要なのが次アポ率60%以上という指標である。1度目のアポで終わらせず、次のアポに必ずつなげる。次アポ率は営業電話のトーク設計、特に終盤のクロージング部分の設計力を如実に表す数値である。

行動量が足りなければアポの母数が増えず、アポの質が低ければ来場・成約に進まない。
営業電話の生産性は、この両輪をKPIで管理してはじめて上げられる。

 

住宅会社の営業電話KPI——架電・着電・アポを数値で押さえる

住宅会社の営業電話で押さえるべきKPIを、改めて具体的な数値で整理する。トークの巧拙を語る前に、まずはこの数値を全営業マンが共通言語として持つことが出発点となる。

行動量のKPIとしては、1時間あたり15コール。
1日の架電時間を2時間確保するなら30コール、3時間なら45コールが目標値となる。新人営業マンが最初につまずくのはほぼ間違いなくこの「行動量」であり、コール数を可視化するだけで成績が改善するケースは多い。

接触のKPIは、着電率10%以上。
これは1日30コールなら3件以上はつながる計算で、つながらない場合は架電時間帯の見直し(平日昼間より夜18時〜20時が効果的なケースが多い)や、リストの優先順位付け(資料請求から3日以内が黄金期間)を再検討する必要がある。

アポ獲得のKPIは、着電アポ率25%以上。
トークが弱いと10%を下回ることもあり、逆に設計の良い会社では30%を超える。そして次アポ率60%以上。この数値は営業電話の質を測る最重要KPIで、初回アポを次回確約まで持っていけるトーク構造ができているかを示す。

これらのKPIを月次で営業マン別に並べると、誰がどこでつまずいているかが一目で分かる。「Aさんは行動量はあるが着電アポ率が低い」「Bさんはアポ獲得後の次アポ率が低い」
——課題が特定できれば、トーク改善のロールプレイをどこに焦点を当てるべきかも明確になる。これが感覚営業との決定的な違いである。

 

住宅会社の営業電話で「認知」を測る意味——70%という基準値

意外と見落とされているのが認知の指標である。電話の冒頭で「弊社のことはご存じですか?」と一言聞くだけで、追客の戦略は大きく変わる。目標は認知率70%以上だ。

なぜ認知が重要なのか。資料請求の段階では、見込み客は複数の住宅会社に同時に資料を請求していることがほとんどである。その中で自社のことを覚えているのか、社名を聞いてピンとくるのか、SNSやメルマガで日常的に接触しているのか——この事前認知の有無が、その後のトークの入り方も、アポ獲得の確率も、決定的に左右する。

認知されていない相手には、まず「どんな会社か」「他社と何が違うか」を伝えるところから始めなければならない。これは営業電話の貴重な数分を「自己紹介」に費やすことを意味する。一方、認知されている相手であれば、いきなり「最近こういう商品を出しまして」と本題に入れる。同じ時間で進められる商談の深さがまったく違ってくる。

認知率が60%を切っているなら、それは営業電話の問題ではなく事前の集客施策の問題である。
資料請求から架電までの間に、SNS投稿、メールマガジン、営業メール、SMSなどで何度も接触しているか。地域でのブランド認知が形成されているか。営業電話のトークだけで成果を上げようとせず、その手前の認知形成段階から逆算して設計することが、住宅会社の追客戦略の本筋である。

電話で「認知率」という数字を取り続けると、どの集客施策が効いているかが営業現場の実感として把握できる。マーケティング部門と営業部門の連携を深める指標としても機能する。

 

お断り理由を6分類で記録する——住宅会社の営業電話で最重要のKPI

追客マネジメントにおいて最も重要であり、にもかかわらず多くの住宅会社が取れていないデータが「お断り理由」である。
なぜアポにならなかったのか、なぜ来場まで至らなかったのか。この理由を構造化して記録することが、トーク改善の最短ルートとなる。

お断り理由は以下の6つに分類する。

時期要因(「まだ建てるのは先なので」など、検討時期がずれているケース)
土地要因(土地が決まっていない、土地の問題で進められないケース)
資金要因(住宅ローン、自己資金、予算の問題)
競合要因(他社と比較検討中で決め切れない状態)
他決(すでに他社で契約・申し込みが決まったケース)
検討中止(家を建てること自体をやめた、または無期限延期)

この6分類で月次集計するだけで、自社の弱点が驚くほどクリアに見えてくる。

たとえば「時期要因」のお断りが全体の40%を占めているなら、それは追客のタイミング設計に問題がある可能性が高い。
資料請求直後ではなく、1〜2ヶ月の中長期フォローでファン化する仕組みが必要かもしれない。

「資金要因」が30%を超えているなら、初回トークでファイナンシャル面の不安を解消できていない、あるいは商品ラインナップに価格帯のバリエーションが足りない可能性がある。

「競合要因」が多いなら、自社の差別化ポイントが営業電話のトークで十分に伝わっていない。

そしてここからが本題である。お断り理由の傾向は、営業マンごとに大きく異なる
Aさんは「資金要因」での失注が多く、Bさんは「競合要因」での失注が多い、といった具合に偏りが出る。この偏りこそが、その営業マンのトークの弱点を映し出す鏡である。

Aさんなら資金面の不安を解消するトーク設計(住宅ローンのシミュレーション提示、月々の支払いイメージの明確化)を強化する。Bさんなら自社の独自性を語るパートを補強する。営業マン別×お断り理由別でデータを取れば、教育のテーマは個別最適化できる。一律のロールプレイよりはるかに効果が高い。

 

住宅会社の営業電話を改善する月次管理表——KPIをここまで分解する

ここまで解説してきたKPIを、最終的にどう管理するか。
推奨するのは月別・営業マン別の管理表で、以下の項目をすべて1枚で見える化する形である。

管理項目は、架電数、着電数、不在・不通数、アポ数、各お断り理由の件数(時期・土地・資金・競合・他決・検討中止)、来場率、成約率の合計13項目程度。
この数字を月ごとに、かつ営業マンごとに並べていく。エクセルでもスプレッドシートでも構わないが、営業マン全員が毎日入力し、週次で全員が見られる状態にすることが運用の肝である。

数値を細かく分解する目的は、「成果」という曖昧なものを改善可能な単位まで小さく砕くことにある。
来場率が低いという結果から始めても、打ち手は見つからない。だが「Aさんの着電アポ率が18%で、社内平均の25%を下回っている。お断り理由は資金要因が42%」というところまで分解できれば、やるべきことは明確になる。Aさんに対して資金面の不安解消トークのロールプレイを集中的に行う、というアクションに直結する。

KPI管理を導入したばかりの会社では、入力の手間を嫌がる営業マンが必ず出る。
だがここで妥協してはならない。入力されない数値は存在しないのと同じであり、営業電話の改善はそこで止まる。最初の1〜2ヶ月は入力の習慣化に集中し、3ヶ月目から数字を見ながらの改善ミーティングを始める——この順序で導入するのが現実的である。

そして、管理する側の経営者・マネージャーが意識すべきは、数値で営業マンを責めないことである。
数値はあくまで「どこを改善すべきか」を示すコンパスであり、評価のための裁判道具ではない。数値を取ることが営業マンの萎縮につながれば、入力の精度が落ち、結局何も見えなくなる。「成果を上げるための共通言語として数値を使う」という姿勢を、組織として持ち続けることが重要である。

 

まとめ——住宅会社の営業電話は「設計」と「測定」で必ず変わる

住宅会社の営業電話における追客は、もはやベテランの感覚や個人の話術に頼る時代ではない。
行動量・アポの質・認知・お断り理由・競合情報の5つの軸で数値化し、月次で営業マン別に管理する
——この当たり前の運用を徹底するだけで、資料請求から来場への転換率は大きく動く。

特にお断り理由の6分類と営業マン別の傾向分析は、即効性のある打ち手につながる強力な武器となる。
今日から始められて、3ヶ月後には組織のトークの弱点が見え、6ヶ月後には来場率の構造的な改善が始まっている
——そんな状態を目指したい。

覚営業から脱却し、再現性のある住宅営業組織へ。最初の一歩は、営業電話のたびに数字を1行記録することから始まる。

 

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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