×

フォロワー1万人より、商圏の100人。住宅会社のInstagramで本当に見るべき数字

2026.07.02 | ナレッジ

Instagramを頑張って運用し、フォロワーが順調に増えてきた。数百人が千人になり、千人を超えた。数字が伸びると嬉しい。ところが、フォロワーは増えているのに、来場予約は一向に増えない。問い合わせも来ない。「フォロワーは増えたのに、なぜ集客につながらないのか」。住宅会社のマーケ担当が、Instagram運用で必ずぶつかる疑問である。

住宅会社にとって、フォロワー数そのものはあまり意味を持たない。大切なのは数ではなく、そのフォロワーが商圏内にいるかという質だ。フォロワー1万人より、自社が家を建てられるエリアにいる100人のほうが、はるかに価値がある。本記事では、住宅会社がInstagramのフォロワーをどう捉え、数に振り回されず、本当に見るべき数字は何かを、具体的に解きほぐしていく。

フォロワーは増えた、でも来場は増えない

まず、多くの住宅会社が直面している現象を整理しておきたい。フォロワー数は伸びている。投稿への反応もそれなりにある。にもかかわらず、その伸びが来場予約や問い合わせにまったく結びつかない。数字の成長と、ビジネスの成果が、別々に動いている。

この現象が起きるのは、フォロワー数と来場が、そもそも直結する指標ではないからだ。フォロワーが増えるということは、自社の投稿に興味を持つ人が増えたということではある。だが、その興味が「家を建てたい」という検討に結びついているとは限らない。きれいな施工事例の写真に「いいな」と反応する人の多くは、家づくりを検討しているわけではない。デザインを眺めて楽しんでいるだけの人も、遠方に住む人も、同業者も、フォロワーにはまぎれ込む。

数字は伸びているのに成果が出ないのは、運用が下手だからではなく、フォロワー数という指標が来場を映していないからだ。まずこの構造を理解しないと、フォロワーを増やすことに労力を注ぎ続け、いつまでも成果につながらないという罠にはまる。

なぜフォロワー数を追いたくなるのか。分かりやすさという落とし穴

それでも、多くの人がフォロワー数を追ってしまう。なぜか。理由は単純で、フォロワー数が分かりやすいからだ。この分かりやすさこそが、落とし穴になる。

フォロワー数は、誰が見ても一目で分かる。プロフィールに大きく表示され、増えれば達成感があり、減れば不安になる。日々の数字の上下が、努力の成果のように感じられる。だから、つい毎日チェックし、増やすことが目的化していく。「先月より500人増えた」という数字は、報告にも使いやすい。

だが、分かりやすい数字が、重要な数字とは限らない。むしろ、分かりやすいからこそ、本質を見えにくくする。フォロワー数を追っているあいだ、「そのフォロワーは商圏にいるのか」「来場につながっているのか」という肝心の問いが置き去りにされる。こうした、増減に一喜一憂するわりに成果と関係の薄い数字を、虚栄指標と呼ぶ。フォロワー数は、その代表格だ。

住宅会社にとってフォロワー数が意味を持たない理由:商圏が限られているため

フォロワー数が住宅会社にとって特に意味を持ちにくいのには、明確な理由がある。住宅会社の商圏が、地理的に限られているからだ。ここが、全国に商品を売る業態との決定的な違いになる。

全国にネット通販で商品を売る会社なら、フォロワーが日本中のどこにいても、買ってもらえる可能性がある。だから、フォロワー数が多いほど商機も広がる。だが、住宅会社は違う。家を建てられるのは、自社の商圏内に限られる。半径数キロから、せいぜい通える範囲のエリアだ。その外にいる人が何人フォロワーになっても、家を建ててもらうことはできない。遠方のフォロワーが1万人いても、商圏外であれば、ビジネス上の価値はほぼゼロである。

つまり、住宅会社にとってのフォロワーは、「何人いるか」より「どこにいるか」が決定的に重要なのだ。商圏外のフォロワーをいくら集めても、来場にも契約にもつながらない。見るべきは総数ではなく、商圏内にどれだけいるかなのだ。

フォロワー1万人より、商圏の100人。質が量に勝る場面

ここまでを踏まえれば、一つの結論が見えてくる。住宅会社にとっては、フォロワー1万人より、商圏内の100人のほうが価値がある。これは、質が量に勝る典型的な場面だ。

フォロワーが1万人いても、その全員が商圏外なら、来場の見込みはない。一方、フォロワーが100人でも、その全員が自社の商圏内で家を検討している層なら、そこから来場や契約が生まれる可能性は十分にある。数字の大きさだけを見れば1万人が圧倒的だが、ビジネスの成果という観点では、商圏内の100人のほうがはるかに濃い。集めるべきは、遠くの1万人ではなく、近くの100人なのだ。

この発想に立つと、運用の方向性が変わる。フォロワーの総数を増やすことではなく、商圏内の検討層に届くことを目指すようになる。広くバズを狙うより、地域に密着した発信で、商圏の人に「近所にこんな会社がある」と知ってもらう。数の大きさに惑わされず、質の濃さを取りにいく。

ではフォロワーは無意味か。いや、商圏内のフォロワーには価値がある

ここで誤解してほしくないのは、フォロワーが完全に無意味だと言っているわけではないことだ。数を追うことに意味がないだけで、商圏内のフォロワーには、確かな価値がある。

商圏内の人がフォロワーになってくれているなら、それは継続的に自社の発信を届けられる相手がいるということだ。一度フォロワーになれば、その人のフィードに自社の投稿が繰り返し表示される。施工事例、見学会の案内、暮らしの提案。何度も接触するうちに、「最近この会社、よく見るな」という認知が育つ。これが、家を考え始めたときに最初に思い浮かぶ会社、つまり第一想起につながる。商圏内のフォロワーは、認知を積み上げ続けられる貴重な接点なのだ。

問題なのは、相手を問わず総数だけを追うことであって、商圏内のフォロワーを増やすのは、むしろ正しい方向である。フォロワーの価値は、数ではなく中身で決まる。誰がフォロワーなのかを問う視点を持てば、フォロワーは意味のある資産に変わる。

フォロワー数の代わりに何を見るか。保存・指名検索・来場前の閲覧

フォロワー数を追わないなら、代わりに何を見ればいいのか。住宅会社のInstagram運用で見るべき数字は、保存数、指名検索、そして来場前の閲覧だ。

まず、保存数。投稿が「いいね」されるより「保存」されるほうが、関心の深さを示す。後で見返したい、参考にしたいと思った人が保存する。家づくりの参考に施工事例を保存する人は、検討の温度が高い可能性がある。いいねの数より、保存の数のほうが、検討層の関心を映している。

次に、指名検索だ。自社の名前で検索される回数が増えているなら、Instagramの認知が「調べてみよう」という行動につながっている証拠になる。フォロワー数より、指名検索の推移のほうが、認知が成果に向かっているかを教えてくれる。

そして、来場前の閲覧だ。来場アンケートで「来場前にInstagramを見たか」を聞けば、SNSがどれだけ来場に関与したかが分かる。広告経由で来た人の多くが「来場前にInstagramも見ていた」と答えるなら、Instagramは来場の決め手として確かに機能している。これは、フォロワー数には決して表れない、SNSの本当の貢献だ。

数を追わない運用。商圏に届く発信に集中する

フォロワー数を追わないと決めたとき、運用はどう変わるか。一言で言えば、数を追う運用から、商圏に届ける運用への転換だ。

数を追う運用では、とにかく多くの人に見られ、フォロワーを増やすことが目的になる。だが、商圏に届ける運用では、狙いが違う。地域の人に「近所にこんな会社がある」と知ってもらうこと、商圏内の検討層に役立つ情報を届けることが目的になる。地域のイベント、その土地ならではの暮らし、自社の施工事例。商圏の人が「自分ごと」として受け取れる発信に集中する。フォロワーの総数が劇的に増えなくても、商圏内の人にしっかり届いていれば、それでいい。

数を追わず、商圏に届ける。この一点に集中することが、住宅会社のInstagramを、成果につながる運用に変える。

まとめ

住宅会社にとって、Instagramのフォロワー数そのものは、あまり意味を持たない。商圏が限られている以上、商圏外のフォロワーをいくら集めても来場にはつながらないからだ。フォロワー1万人より、商圏内の100人のほうが価値がある。ただし、フォロワーが無意味なのではなく、商圏内のフォロワーは認知を積み上げる貴重な資産だ。数の代わりに見るべきは、保存数、指名検索、来場前の閲覧といった成果に近い数字。そして、数を追う運用から、商圏に届ける運用へと転換する。

フォロワー1万人を誇るより、商圏の100人に深く届く。それが、住宅会社のInstagramで本当に見るべき数字である。

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

関連するナレッジ

Knowledge