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住宅会社のインスタ認知広告は意味があるのか。効く時・効かない時と成果の測り方

2026.07.28 | ナレッジ

代理店やSNSコンサルから「認知広告もやりましょう」と勧められた。あるいは自分で認知目的の配信を試してみた。ところが、来場予約はまったく増えない。レポートを見ても「リーチ○万・インプレッション○万」と並ぶだけで、良いのか悪いのかも分からない。そして、こう思う。「これ、本当に意味があるのか。予約に繋がらないなら、その予算を来場獲得の広告に回した方がいいのではないか」。

結論から言えば、認知広告には意味がある。ただし、条件つきだ。認知広告には「効く会社」と「効かない会社」があり、やり方を間違えれば本当にただの無駄遣いになる。そしてもう一つ大事なことがある。認知広告を「来場予約」で測った時点で、判断を誤る。予約という物差しでは、認知広告の成果は最初から映らないようにできているのだ。この記事では、住宅会社のインスタ認知広告が効く時と効かない時、そして予約以外での成果の測り方を、具体的に解説する。

認知広告と刈り取り広告は、そもそも別物である

まず、言葉を整理しておきたい。インスタで出す広告には、性格の違う2種類がある。「刈り取り広告」と「認知広告」だ。

刈り取り広告は、今すぐ動きたい人を獲得する広告である。完成見学会やモデルハウス見学会の予約を、その場で取りにいく。成果が来場予約という形ではっきり見えるので、多くの会社が最初に取り組む。一方の認知広告は、今すぐは動かない人に向けた広告だ。施工事例やルームツアー、家づくりの考え方を届けて、「こういう会社があるんだ」と覚えてもらう。狙いは、その人が数ヶ月後、あるいは1年後に家づくりを本格的に考え始めたとき、真っ先に自社を思い出してもらうことにある。これを第一想起という。

この2つは、狙いもKPIも評価する期間も、まったく違う。刈り取り広告は、来場予約や資料請求のCPA(一件あたりの獲得コスト)で、2週間から1ヶ月で評価する。認知広告は、後で触れる指名検索などの指標で、半年から1年かけて評価する。ここを混同して、認知広告を刈り取り広告と同じ物差しで見てしまうことが、すべての誤解の出発点になる。まったく役割の違う2つを、同じ土俵で比べてはいけない。

なぜ刈り取りだけでは、いずれ頭打ちになるのか

では、来場予約に直結する刈り取り広告だけをやっていれば十分かというと、そうはいかない。ここに、認知広告が必要になる理由がある。

刈り取り広告が捕まえるのは「今すぐ客」、つまり今まさに家づくりを検討していて、見学会に行こうかと考えている層だ。ところが、この層は商圏の中で数が限られている。半径10〜20kmの地方や郊外の商圏となればなおさらだ。最初のうちは、この今すぐ客に広告が届いて来場が取れる。だが同じ商圏に刈り取り広告を出し続けると、今すぐ客をひととおり刈り取ったあと、母数が枯れてくる。すると同じ予算でも取れる来場が減り、来場CPAはじわじわ上がっていく。半年から1年で、この頭打ちは必ず訪れる。

認知広告は、この枯渇を防ぐためのものだ。今すぐ客の一歩手前にいる「そのうち客」に接触し、覚えてもらっておく。そうすれば、その人が賃貸の更新や住宅ローン金利の動きをきっかけに動き出したとき、検討の最初から自社が候補に入る。刈り取りが「今ある池の魚を釣る」だとすれば、認知は「池に魚を放流し続ける」ことにあたる。放流をやめれば、池はいずれ空になる。来場CPAを5万円以内に保ち続けたいなら、刈り取りと認知の両輪が要る。

認知広告が「効く会社」の条件

とはいえ、認知広告はどの会社がやっても効くわけではない。効く会社には、はっきりした条件がある。

第一に、商圏内の検討層にきちんと届いていることだ。住宅は、施工エリアが決まったローカルビジネスである。Instagramのインサイトで、リーチした人がどの市区町村に住んでいるかを見て、商圏内が過半数を占めているか。ここがずれていれば、どれだけリーチを稼いでも来場には結びつかない。

第二に、来場がすでにある程度安定していて、将来の集客基盤を厚くしたいフェーズにあること。来場が足りずに困っている段階なら、まずは刈り取りに予算を寄せるべきで、認知に回すのはその後だ。来場が回っている会社なら、広告予算の30〜50%を認知に振り分ける価値が出てくる。

第三に、地方や商圏人口が限られる工務店ほど、認知が効く。母数が少ないぶん、その少ない見込み客の記憶に早く入り込めるかどうかが、後々の差になるからだ。そして第四に、広告と、Instagramの通常投稿(運用)と、イベントページが、一つの世界観で連動していること。認知広告で興味を持った人のうち、およそ10〜15%がプロフィールを見に来る。そのプロフィールが広告と同じ空気感で、暮らしの世界観を伝えられていれば、信頼が積み上がる。広告が「届ける」役、運用が「信頼させる」役、イベントページが「比較検討させる」役。この3つが噛み合っている会社で、認知広告は効く。

認知広告が「効かない会社」の条件

逆に、認知広告が効かない会社の条件も、はっきりしている。効かせ方を外している会社だ。

もっとも多いのが、フォロワー数を目的にしてしまうケースだ。フォロワーを数万人に増やしても、その中身が同業者や施工エリアの外の人ばかりなら、来場は一件も増えない。実際、InstagramやYouTubeでフォロワーを数万人まで伸ばしたのに来場予約はほとんど増えなかった、という会社がある。追うべきはフォロワーの数ではなく、商圏内の見込み客にどれだけ届いて記憶されているかだ。次に多いのが、認知広告を予約数やいいね数で測ってしまうこと。時間のかかる施策なのに、配信して数週間で「予約が増えないから効果なし」と止めてしまう。その数ヶ月後に、じわじわ来場が減って気づく。

ほかにも、効かない会社にはいくつかの共通点がある。刈り取りだけ、あるいは認知だけの片肺運用になっている。広告の担当と通常投稿の担当が分かれていて、プロフィールに来たときに「広告と同じ会社に見えない」と離脱される。広告の配信目的を「クリック」にしてしまい、クリックする人ばかり集めて予約に繋がらない。ある例では、広告費3万円でクリック率3%、クリック300件を集めても、来場予約はゼロだった。さらに、都心の会社と同じリーチやいいねの目標を、商圏の小さい地方にそのまま当てはめて疲弊する。これらはすべて、認知広告そのものが悪いのではなく、使い方を誤っているだけである。

認知広告は「来場予約」で測ってはいけない

ここが、この記事で最も伝えたい点だ。認知広告の成果を、来場予約で測ってはいけない。予約という物差しでは、認知の効果は構造的に映らないからである。

考えてみてほしい。Instagramでたまたま平屋のルームツアー動画を見た人が、その日のうちに完成見学会を予約するだろうか。まず、しない。住宅は数千万円の買い物で、検討期間は数ヶ月から数年に及ぶ。今日動画を見た人は、覚えてくれてはいても、動くのは半年後、1年後だ。つまり、認知広告の効果と、来場予約という結果のあいだには、大きな時間のずれがある。予約は、認知からずっと遅れて出てくる「遅行指標」なのだ。

この時間のずれを忘れて、認知広告を出してすぐの来場予約を見て「効かなかった」と判断するのが、いちばんもったいない失敗である。効いていないのではなく、まだ結果が出る時期になっていないだけだ。ここで止めてしまうと、せっかく池に放流し始めた魚を、育つ前に引き上げてしまうことになる。だから認知広告は、予約という遅い結果ではなく、その手前で先に動く“反応”で測る。次に、その具体的な測り方を示す。

認知の成果は「指名検索数」で測る

認知広告の成果を測る、最も重要な先行指標が「指名検索数」である。指名検索とは、会社名で直接検索されることを指す。

なぜこれが効くのか。人の行動を追うと分かる。Instagramで気になる住宅会社を見つけた人は、その場では予約しない。代わりに、あとでGoogleに会社名を打ち込んで、公式サイトや口コミを確かめにいく。つまり、認知が深まると、会社名で検索する人が増える。この指名検索の数は、認知の結果が予約よりずっと早く表れる場所なのだ。指名検索が増えてきたということは、その会社が見込み客の「まず思い浮かぶ会社」に入り始めたサインであり、来場や成約に最も強く効くシグナルでもある。

測り方は難しくない。Googleビジネスプロフィールの「ダイレクト検索数」や、サーチコンソールでの社名検索数を、毎月記録していく。Instagramでの発信を本格的に始めた月を起点に、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月と推移を追う。「◯◯工務店 完成見学会」のように、社名と組み合わせた検索が増えてきたら、認知がさらに深まっている証拠だ。前月比で10%以上伸びた月があれば、その月にどんな投稿をしたかを振り返り、再現できるようにする。あわせて、Instagramインサイトの商圏内リーチ比率やプロフィール訪問数も見る。そして何より、来場時のアンケートで「どこで当社を知りましたか」を必ず聞き、「インスタで見た」「以前から知っていた」という声の割合を集計する。100%正確な計測でなくていい。効いている手応えを、複数の数字で掴むことが大事である。

認知広告を“効かせる”ための組み立て方

最後に、認知広告を無駄にせず成果につなげる、全体の組み立て方をまとめておく。認知は単独では走らない。刈り取りとセットで設計してはじめて効く。

流れは、認知から刈り取りへの二段構えにする。まず、平屋のルームツアーや施工事例といった認知の広告(動画再生や認知の目的)で、幅広い見込み客に接触する。住宅の認知動画は、フィードよりもリールと相性がいい。クリック率で見るとリールが2.0%前後、フィードが1.0%前後で、配信面ごとのCPAもリールのほうが安く出やすい。ルームツアーやビフォーアフターは、リールを軸に配信するのがいい。そのうえで、一度動画を見た人や、プロフィールに来た人に向けて、完成見学会の広告(コンバージョンの目的)を再配信する。これがリターゲティングだ。一度接触した相手に刈り取りをかけると反応率が上がり、来場予約が1.5倍になった例もある。このとき、認知の広告と、通常投稿と、刈り取りの広告のクリエイティブや世界観を、必ず揃えておく。バラバラだと、せっかく興味を持った人がプロフィールで離れてしまう。

予算配分は、フェーズで決める。来場がまだ足りない会社は刈り取りに6〜8割を寄せ、認知は残りでいい。来場が安定している会社なら、認知に3〜5割を回して基盤を厚くする。プロフィールへの流入を狙うプロフィール広告から始めるなら、まずは全体の0.5〜1割という小さな比率でも構わない。フォロワーが300〜500人を超えたあたりが、プロフィール広告を検討する目安になる。そして、投稿や広告のタイプごとに見る指標を分けること。認知の投稿はリーチ、ブランディングの投稿はプロフィール訪問、告知の投稿はリンククリックというように、一つの広告に「リーチも予約も」を求めない。認知広告は、半年から1年の時間軸で評価する。この設計ができて初めて、認知広告は「意味のある投資」になる。

まとめ

住宅会社のインスタ認知広告に意味があるかどうかは、広告そのものではなく、「やり方」と「測り方」で決まる。刈り取り広告だけでは、商圏の今すぐ客をいずれ刈り尽くし、来場CPAは上がっていく。認知広告は、その先の見込み客を増やし続け、検討の入口で自社を思い出してもらうための投資だ。ただし、商圏内に届いていること、広告と運用とイベントページが一つの世界観で連動していることが条件になる。

そして、認知の成果を来場予約で測ってはいけない。予約は遅れて出てくる結果であり、その手前で先に動くのが指名検索数である。刈り取りで今を刈り、認知で未来の母数をつくる。その未来がどれだけ育っているかは、予約ではなく、会社名で検索する人の数に表れる。測るべきものを間違えなければ、認知広告は無駄ではなくなる。

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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