ファーストビューの離脱率が高いときは、配信プラットフォームも定期的に見直そう

2025.04.24 | ナレッジ

「広告の反応は悪くないのに、なぜかページの冒頭で離脱されてしまう…」

そんな経験をされたことはありませんか?特にMeta広告のように複数の配信先があるプラットフォームでは、設定次第で“見てほしい相手に届いていない”という事態が起こりがちです。

本記事では、クリック単価やCTRだけでは見抜けない「配信のズレ」の見つけ方と、その改善ポイントについて解説します。配信の偏りを見直すことで、ファーストビューでの離脱率を下げ、集客効率を大きく改善できるかもしれません。

成果が出ないのは「表示される場所」に原因があるかもしれない

ファーストビューでの離脱が多いとき、多くの方は「デザインが悪いのか?」「キャッチコピーを変えた方がいいか?」と考えます。もちろんそれも重要な視点ですが、意外と見落とされがちなのが「どこに広告が配信されているか」という設定面です。

特にMeta広告では、自動設定のまま運用すると、意図しないかたちで配信先に偏りが出てしまうことがよくあります。

Meta広告はインプレッション課金(表示されるたびに課金される仕組み)を採用しているため、アルゴリズムはできるだけ多くの表示回数を確保しつつ、コスト効率が良いと判断されたプラットフォームを選びやすい傾向があります。その結果として、FacebookやAudience Networkといった表示単価の低い媒体に配信が偏ってしまうケースが生じます。

たとえば、Instagramでの閲覧を狙って広告を出したつもりが、実際にはFacebookでの表示比率が8割を超えていたということも珍しくありません。もし30代の子育て世代など、比較的若い層をメインターゲットにしている場合、そもそも見てほしい相手に届いていないという“配信の誤差”が成果を大きく左右するのです。

また、Audience Network(提携アプリ)にも自動的に配信される設定になっていることがあり、ここでのクリックは単価こそ安いものの、コンバージョンに結びつきにくい“ノイズ”になっていることがあります。このように、広告が「誰に届いているか」よりも、「どこに届いているか」が意外と成果に直結するのです。

どれだけ優れたクリエイティブを作っても、届ける相手を間違えれば意味がありません。広告成果が伸び悩んでいるときこそ、「誰に、どこで届けるか?」というマーケティングの原点に立ち返ることが求められます。

どのデータを見れば“配信のズレ”に気づけるのか?

では、実際に配信の偏りをどう見つければいいのでしょうか。ポイントは、「年齢」「性別」「広告配置(フィード、ストーリーズなど)」の掛け合わせでデータを見ることです。

Meta広告では、広告マネージャー内にある「レポート機能」で、配信先別・年齢別・性別別の表示回数やクリック率を確認できます。

たとえば、

・Facebookでのインプレッションの7割が50代以上だった
・Instagramのストーリーズでは30代女性のクリック率が2倍以上だった といった情報をもとに、自社のターゲットに合っている配信面を把握できます。

このとき大切なのは、単なるクリック数だけでなく、「クリック後の滞在時間」や「ファーストビューでの離脱率」まで確認することです。“クリックされたのに読まれていない”という事実があれば、それは「ズレた場所に配信されていた」可能性を示します。

住宅会社ならではの具体例:Instagram中心に切り替えて成果改善

実際に、ある住宅会社では「若いママ層に向けた平屋相談会」の広告をMeta広告で実施した際、初期設定のままだとFacebook比率が高く、40〜50代男性中心の配信になっていました。LPへのクリックは一定数あったものの、滞在時間が短く、CVにはつながらなかったそうです。

そこで、Instagramのストーリーズ配信に特化して設定を見直したところ、30代女性からの流入が増え、LP滞在時間が平均45秒→1分20秒に伸び、反響単価も30%改善されたとのことです。

このように、配信先の最適化は広告費を増やさず成果だけを高める強力な施策になります。

配信面をInstagramのみに絞る判断はあり?

特にInstagramでの閲覧や反応が明らかに多い場合は、思い切って配信面をInstagramのみに絞る判断も有効です。

Meta広告では、配信先を限定することでターゲット層へのリーチ精度を高めることができます。

住宅会社においては、「Instagramを見るのが日課になっているママ層」や「週末の相談会情報をSNSで探している30代女性」といったセグメントに対して、ストーリーズ配信の相性は非常に良好です。

もちろん、配信を絞ることで表示回数は減りますが、その分無駄なクリックを避け、実際に反応の取れる層へのアプローチがしやすくなります。配信分析の結果を見て「Instagramのストーリーズで特に効果が出ている」なら、迷わず一本化する判断もおすすめです。

配信は“設定して終わり”ではなく“育てる運用”へ

広告運用において、「設定したらそのまま放置」という状態は非常に危険です。ユーザーの動きや広告環境は常に変化しており、1カ月前の“最適”が今もベストとは限りません。

見直しの際は、以下の点に注目しましょう。

・年齢・性別ごとの反応傾向
・配信先ごとの成果比較(Facebook/Instagram/Audience Networkなど)
・配置別(ストーリーズ/フィード)の成果傾向
・クリック後の離脱率や滞在時間の傾向

特に社内で広告運用をしている場合、「毎月1回は成果チェック&見直しをする」という仕組みをチーム内に定着させると、広告の質が大きく変わります。社内ミーティングで配信先別の成果を報告し合うだけでも、改善の視点が磨かれていきます。

まとめ

ファーストビューでの離脱が多いと感じたとき、改善の第一歩は「配信プラットフォームの見直し」にあります。コピーやデザインの調整に入る前に、まずは“誰に届いているのか”を見極めましょう。

Meta広告では、デフォルトのまま運用していると、思わぬところに配信が偏ってしまうことがあります。配信データを年齢別・性別別・配置別で分析し、ターゲットに合った場所に最適化することで、広告の反応率は大きく変わってきます。

配信設定は一度決めたら終わりではなく、定期的に調整することで“生きた広告”になります。数字の裏側にある「誰に届いているのか?」という視点を忘れず、実践的な見直しを積み重ねていきましょう。成果が出ないと感じたときこそ、配信設計を見直す絶好のタイミングです。

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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