利益率アップを実現する住宅会社のための集客目標の立て方とは?

2025.05.09 | ナレッジ

「広告費をかけているのに売上が伸びない」
「資料請求は増えても契約に繋がらない」

こうした声は、住宅業界の現場で頻繁に耳にします。実はその原因の多くが、利益を意識した集客目標を設計できていないことにあります。

住宅業界の集客は、単純な反響数の多さだけでは成果に直結しません。契約、そして最終的な利益に至るまでのプロセスを見据えて設計された「意味のある集客目標」が、今後の経営を大きく左右します。

この記事では、集客数ではなく“利益”を軸に置いた目標設定の考え方を、現場で実践しやすい形でご紹介します。

集客が伸びても利益が出ない理由とは?

広告に力を入れて資料請求が増えた。Webからの予約も増加傾向にある。にもかかわらず契約が思うように増えない。このような状況は、集客効果を「反響数」でしか見ていないことに原因があります。

反響数を増やすことに注力するあまり、「その反響がどれだけ利益に結びついたのか」という視点が欠けているのです。本来、集客は“打って終わり”ではなく、“打った結果どうだったか”を可視化し、次の改善につなげることが重要です。

集客の成果を測る3つの数字

住宅会社が集客施策の成果を正しく評価するためには、以下の3つの指標を必ず押さえておきましょう。

ROI(投資利益率)
計算式:{(契約による利益 − 広告費)÷ 広告費} × 100
例:広告費100万円、契約利益1,000万円 → ROI = {(1,000万−100万)÷100万}×100 = 900%

・ROAS(広告費用対効果)
計算式:売上 ÷ 広告費 × 100
例:売上3,000万円、広告費100万円 → ROAS = 3,000万 ÷ 100万 × 100 = 3,000%

・CPA(顧客獲得単価)
計算式:広告費 ÷ 成果件数(資料請求数・来場者数など)
例:広告費100万円、資料請求200件 → CPA = 100万 ÷ 200 = 5,000円

これらの指標を継続的に追いかけることで、反響の質やボトルネックが可視化され、改善の方向性が見えてきます。

利益から逆算する「戦略的目標設定」

“資料請求を〇件獲得する”という目標だけでは、行き当たりばったりの集客になりがちです。大切なのは、「いくら利益を出したいか」というゴールから逆算して必要な集客数を設計することです。

例えば、

・年間契約目標:20棟
・1棟あたり営業利益:250万円
・目標営業利益:5,000万円

このような目標があれば、以下のように必要な集客数を逆算できます。

・来場から契約率が8% → 必要来場者数 = 20棟 ÷ 0.08 = 250組
・資料請求から来場率が5% → 必要資料請求数 = 250組 ÷ 0.05 = 5,000件
・ROI目標が300% → 最大広告予算 = 目標利益 ÷ ROI = 5,000万円 ÷ 3 = 約1,666万円

このように利益から逆算することで、ムダのない集客計画が立てられます。

成果を生むための「広告 × 営業」連携とは

どれだけ多くの反響があっても、営業チームに情報が共有されていなければ契約にはつながりません。広告と営業がそれぞれ孤立したままでは、せっかくのリードも生かされず、機会損失が生まれてしまいます。

成果につなげるために、以下のような連携を日常業務に組み込むことが重要です。

・広告の反響(資料請求・来場)データを営業と共有する
・来場者の関心事項をもとに、提案内容や接客を設計する
・CPAや契約率をチームで確認し、改善案を話し合う

このように、広告・営業が“成果に向かって同じ地図を持つ”状態をつくることで、利益率の改善が加速します。

まとめ:集客目標は「数」より「意味」で考える

住宅業界における集客は、数を追うだけでは結果に結びつきません。これからは「どれだけ資料請求が取れたか」ではなく、「どれだけ利益に近づいたか」という観点で施策を組み立てていくことが重要です。

そのために、次の4点を実践してみてください。

1.ROI・ROAS・CPAで数値を可視化する(計算式とセットで理解する)
2.数字の背景から課題を読み取る(来場・契約率など)

3.利益から逆算して目標を設計する
4.広告と営業を連携させ、反響を成果に変える体制をつくる

この視点をもつだけで、広告費のムダを減らし、安定して利益を上げる営業体制にシフトしていくことができます。

まずは「目標を利益から逆算する」というシンプルな一歩から、集客の質を変えていきましょう。

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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