「広告って、1日いくらの予算をかけるのがベストなの…?」
そんな悩みを抱える住宅会社の皆様に向けて、本記事では「目標から逆算する」という考え方をもとに、広告予算の決め方を分かりやすく解説します。
自社にとって最適な広告費の考え方が理解できるだけでなく、成果につながる“根拠ある投資”の設計方法が身につきます。まずは感覚に頼るのをやめて、数字で考える第一歩を踏み出しましょう。
Web広告を出稿する際、多くの住宅会社が陥りやすいのが「昨年と同じ」や「今月出せる額で」といった“予算先行”の発想です。
しかし、広告の本来の目的は「何件の予約・資料請求などの反響を得るか」。その成果を基準にして、必要なクリック数や広告費を逆算することが、無駄な投資を防ぐ唯一の方法です。
広告で得られる反響は、適切な仮説と数字に基づいてこそ実現します。なんとなくの出稿は、成果の検証も改善もできず、効果が読めない“賭け”になってしまいます。
まずは「数字で計画を立てる」という視点を持つことが、安定的な広告運用への第一歩です。
広告費を設計するうえで重要なのが、CPC(Cost Per Click/クリック単価)です。
住宅業界は商材単価が高く、競合も多いため、CPCが高くなりやすい傾向にあります。一般的に40〜60円が目安とされ、仮の基準として50円で試算することが多いです。
ただし、媒体ごとに大きな違いがあります。たとえば:
・Instagram広告:競争が激しく、CPCは100円前後になることも珍しくありません。
・Audience Network:アプリ面や提携サイトへの配信となるため、表示単価が抑えられ、CPCも40円以下に下がる傾向があります。
このように、同じ広告でも配信面によってコスト効率が大きく変わるため、プラットフォーム別に配信結果を検証しながらチューニングしていく視点が欠かせません。
次に確認すべきが、CVR(Conversion Rate/コンバージョン率)です。これは「広告経由で訪れたユーザーのうち、何%が予約や資料請求といった反響につながったか」を示す指標です。
たとえば:
・目標:3件の予約獲得
・想定CVR:0.3%(=0.003)
・必要クリック数:3件 ÷ 0.003 = 約1,000クリック
・想定CPC:50円
・必要広告費:1,000クリック × 50円 = 50,000円
このように、CVRを軸に必要クリック数を出し、CPCをかけ算することで、必要な広告費が明確になります。
CVRは、ランディングページの質やフォームの簡易さ、訴求文の切れ味によって大きく左右されるため、広告出稿と合わせてLP改善も進めていくことが投資対効果を高める鍵になります。
広告費の設計は、“成果からの逆算”が原則です。
「何件の予約をいつまでに取りたいか?」というゴール設定があるからこそ、「そのために必要なクリック数」や「1日あたり必要な予算」が見えてきます。
たとえば:
・目標:10件の予約
・期間:10日間
・必要クリック数:3,300(CVR0.3%)
・想定CPC:50円 → 必要広告費:約165,000円 → 1日あたり約16,500円
このように、“目標→期間→必要数→広告費”の順で積み上げていくことで、感覚に左右されない、戦略的な投資判断が可能になります。
広告運用で失敗する多くのケースは、「やってみて、反応が薄かったからやめた」という“試し打ち”に終わってしまうことにあります。
逆に、成功企業は「何を・いつまでに・どう獲得するか」を数字で設定し、予算を根拠づけたうえで、必要なら途中で調整しながら成果を追いかけています。
数字に基づいた予算設計ができると:
・上司・経営層への説明が通りやすい
・広告運用の振り返りがしやすくなる
・成果の再現性が高まる
住宅業界のようにリードタイムが長く、反響1件の重みが大きい領域では、こうした“積み上げ型の計画”こそが最も効果的です。
「CVRもCPCも分からないから動けない…」という声も多く聞かれますが、大切なのは“仮で良いので設定して、まず回してみる”ことです。
・CVRは0.3%、CPCは50円を仮定値とする
・配信後は、週1回はデータを確認して差分を分析
・LPの離脱率や入力完了率もあわせて確認
このように、広告の成果を構造的に分解・改善していくことで、広告設計そのもののスキルも磨かれていきます。
Googleアナリティクスや広告マネージャーなどの無料ツールでも十分に改善サイクルを回すことは可能です。
広告の効率を大きく左右するのが、LPの完成度です。LPの完成度=CVRと言っても良いでしょう。
反響が思うように得られないとき、真っ先に見直すべきはLPと入力フォームです。
たとえば:
・ファーストビューでの離脱が多い → 「誰向けに、何を提供しているか」が一瞬で伝わっていない
・入力フォームで離脱している → 項目数が多すぎる、エラー表示がわかりにくい
・訴求メッセージが弱い → 価格・期間限定・メリットが曖昧
目安としてCVRが0.3%を下回る場合は、要改善。逆に0.5%を超えてくると、広告費に対する反響効率は大きく改善されます。
広告でいくら集客しても、LPが“落とし穴”になってしまえば意味がありません。入口(広告)と出口(LP)の両方をセットで磨くことが、最大成果を引き出す唯一の道です。
広告予算に“これが正解”という金額は存在しません。しかし、「目標→数値→予算」という逆算プロセスで設計することで、広告施策の成果は再現可能になります。
・出発点は“目標設定”から
・仮のCPC・CVRを使って計算式で試算する
・実配信しながら検証と改善を重ねる
この思考とサイクルを社内で回せるようになれば、広告運用の精度は大きく変わります。
まずは、ざっくりでも構いません。「根拠のある広告予算」を立てるところから、あなたの広告戦略をアップデートしていきましょう。