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住宅会社の広告、動画とバナーどちらを回すべきか。離脱率で取捨選択する考え方

2026.07.02 | ナレッジ

「これからは動画の時代だ」という言葉に押されて、住宅会社が広告に動画を取り入れるケースが増えている。手間とお金をかけて施工事例の動画を作り、Meta広告で配信する。再生数はそれなりに回る。ところが、来場予約にはつながらない。動画は作ったが、費用対効果がよく分からないまま、なんとなく回し続けている。そんな状態に陥っている会社は少なくない。

動画とバナー、どちらを回すべきか。この問いに、「動画のほうが今っぽいから」と感覚で答えてはいけない。動画とバナーは役割が違い、得意なことも、かかるコストも違う。そして、どちらが効くかは好みではなく、離脱率やクリック率といった数字が教えてくれる。本記事では、住宅会社が動画とバナーをどう使い分け、どう数字で取捨選択すべきかを具体的に解きほぐしていく。「とりあえず動画」をやめる話である。

動画とバナーは役割が違う。何を伝えるのが得意かで考える

動画とバナーを比べる前に、まず押さえたいのは、この二つは役割が違うということだ。どちらが優れているかではなく、何を伝えるのが得意かで考える。これが使い分けの出発点になる。

動画が得意なのは、雰囲気や流れを伝えることだ。家の中を歩くように見せる、暮らしのワンシーンを描く、時間の経過を表現する。静止画では伝えきれない空気感や、住んだときのイメージを、動きと音で届けられる。一方バナーが得意なのは、一瞬で要点を伝えることだ。「平屋の完成見学会」「この地域で家を建てるなら」といったメッセージを、ぱっと見た瞬間に頭に入れてもらう。

動画かバナーかは、流行で決めるのではなく、「何を伝えたいか」から逆算して選ぶ。役割の違いを理解することが、使い分けの前提である。

動画の落とし穴。「再生された」で満足しない

動画広告を回すうえで、最も陥りやすい落とし穴がある。再生数を見て満足してしまうことだ。「これだけ再生された」という数字は気持ちがいい。だが、再生されたことと、伝わったことは別である。ここを混同すると、効果のない動画に予算を注ぎ続けることになる。

見るべきは、再生数ではなく離脱率だ。動画が再生されても、多くの人が冒頭で離脱していれば、メッセージは届いていない。離脱率が8割を超えるような状態なら、その動画は止める判断が妥当だ。再生数という見栄えのいい数字に隠れて、実は誰にも最後まで見られていない、ということが起こりうる。

だからこそ、動画は離脱率で評価する。冒頭で大きく離脱しているなら、つかみが弱い。中盤で落ちているなら、間延びしている。離脱の起きる場所が、改善すべき箇所を教えてくれる。「再生された」で満足した瞬間に、動画広告は費用を溶かす装置に変わる。

バナーの強み。一瞬で伝わり、低コストで数を試せる

動画に注目が集まる一方で、バナーの強みは見過ごされがちだ。だが、住宅会社の広告において、バナーは依然として主力になりうる。その強みは、一瞬で伝わることと、低コストで数を試せることにある。

一つ目の強み、一瞬で伝わる力は、SNS広告と相性がいい。ユーザーはフィードを高速でスクロールしていく。その一瞬で目に留まり、何の広告かを伝えるには、動きを追わせる動画より、ぱっと見て分かるバナーのほうが向いている場面が多い。

二つ目の強みが、検証のしやすさだ。バナーは動画に比べて制作の手間もコストも軽い。だから、訴求の違うバナーを複数用意し、どれが効くかを試すことができる。一瞬で伝わり、安く、数多く試せる。このバナーの強みは、検証を重ねて勝ち筋を見つけたい住宅会社にとって、大きな武器になる。

どちらを回すかは数字で決める。離脱率とクリック率で取捨選択

最終的にどちらを回すかは、感覚ではなく数字で決める。判断材料になるのが、離脱率とクリック率だ。この二つを見れば、どのクリエイティブを残し、どれを止めるかが見えてくる。

動画は離脱率で評価する。最後まで見られているか、途中で大きく離脱していないか。バナーはクリック率で評価する。表示された回数に対して、どれだけクリックされたか。それぞれに合った指標で成績をつけ、成績の悪いものは止め、良いものに予算を寄せる。

クリエイティブの取捨選択は、それが動画かバナーかではなく、数字が出ているかどうかで決める。感覚で「動画を増やそう」と決めるのではなく、離脱率とクリック率という事実に従って配分する。これが、予算を無駄にしない判断の仕方である。

制作コストと運用負荷を天秤にかける。動画は安くない

動画とバナーを使い分けるうえで、忘れてはならないのが制作コストと運用負荷だ。動画は、成果以前に、作るのにかかる負担がバナーとはまるで違う。この現実を踏まえずに「動画を増やそう」と決めると、現場が疲弊する。

動画の制作には、撮影、編集、構成と、多くの工数がかかる。外注すれば費用がかさみ、内製すれば担当者の時間が奪われる。しかも、離脱率が悪ければ作り直しだ。手間をかけて作った動画が一本空振りすると、その損失は小さくない。動画は、見た目の華やかさとは裏腹に、決して安い手法ではない。

一方バナーは、制作の負担が軽い。だからこそ、複数パターンを試し、回転させやすい。動画を作るなら、その工数に見合うだけの成果が見込めるか、運用を続けられる体制があるかを冷静に天秤にかける。制作コストと運用負荷という現実を勘定に入れて、初めて正しい使い分けができる。

まずバナー2枚に動画1本から。検証して勝ち筋に寄せる

では、具体的にどう始めればいいのか。おすすめは、まずバナー2枚に動画1本、という構成から始めることだ。最初から動画をたくさん作るのでも、バナーだけに絞るのでもなく、少数で両方を試し、数字を見て勝ち筋に寄せていく。

この構成には理由がある。バナー2枚で、訴求の違いを検証できる。動画1本で、動画という形式が自社の広告で機能するかを試せる。少数に絞ることで、限られた予算が分散せず、それぞれにしっかり配信が回り、学習も進む。最初から手を広げて10本も20本も配信すると、予算が細切れになり、どれも成績がはっきりしないまま終わる。少なく作って、しっかり回し、数字を見極める。この順番が、限られた予算を最も活かす。

そして、出てきた数字をもとに勝ち筋に寄せる。動画の離脱率が良ければ、動画の路線を増やす。バナーのクリック率が良ければ、その訴求を軸に展開する。動画とバナーのどちらを回すかは、最初に決め切るものではなく、検証しながら見つけていくものだ。まず少数で両方試し、数字が示した勝ち筋に寄せていく。これが、感覚に頼らないクリエイティブ運用である。

まとめ

住宅会社の広告で動画とバナーのどちらを回すかは、流行や好みで決めるものではない。動画とバナーは役割が違い、得意なことも、かかるコストも違う。動画は離脱率で評価し、「再生された」で満足しない。バナーは一瞬で伝わり、低コストで数を試せる強みを持つ。どちらを回すかは離脱率とクリック率という数字で取捨選択し、制作コストと運用負荷を天秤にかける。そして、まずバナー2枚に動画1本から始め、検証して勝ち筋に寄せる。

動画かバナーかは、好みではなく数字が決める。形式に価値があるのではなく、成果を出すものに価値がある。動画を作ることが目的化していないか。数字を見て、効くクリエイティブに賭ける。それが、限られた予算で予約を積み上げる住宅会社の広告運用である。

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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