目標から逆算すれば迷わない!広告予算の「正しい決め方」

2025.04.26 | ナレッジ

「広告って、1日いくらの予算をかけるのがベストなの…?」

そんな悩みを抱える住宅会社の皆様に向けて、本記事では「目標から逆算する」という考え方をもとに、広告予算の決め方を分かりやすく解説します。

自社にとって最適な広告費の考え方が理解できるだけでなく、成果につながる“根拠ある投資”の設計方法が身につきます。まずは感覚に頼るのをやめて、数字で考える第一歩を踏み出しましょう。

広告予算は“なんとなく”で決めないことが鉄則

Web広告を出稿する際、多くの住宅会社が陥りやすいのが「昨年と同じ」や「今月出せる額で」といった“予算先行”の発想です。

しかし、広告の本来の目的は「何件の予約・資料請求などの反響を得るか」。その成果を基準にして、必要なクリック数や広告費を逆算することが、無駄な投資を防ぐ唯一の方法です。

広告で得られる反響は、適切な仮説と数字に基づいてこそ実現します。なんとなくの出稿は、成果の検証も改善もできず、効果が読めない“賭け”になってしまいます。

まずは「数字で計画を立てる」という視点を持つことが、安定的な広告運用への第一歩です。

CPC(クリック単価)の目安と媒体による違い

広告費を設計するうえで重要なのが、CPC(Cost Per Click/クリック単価)です。

住宅業界は商材単価が高く、競合も多いため、CPCが高くなりやすい傾向にあります。一般的に40〜60円が目安とされ、仮の基準として50円で試算することが多いです。

ただし、媒体ごとに大きな違いがあります。たとえば:

・Instagram広告:競争が激しく、CPCは100円前後になることも珍しくありません。
・Audience Network:アプリ面や提携サイトへの配信となるため、表示単価が抑えられ、CPCも40円以下に下がる傾向があります。

このように、同じ広告でも配信面によってコスト効率が大きく変わるため、プラットフォーム別に配信結果を検証しながらチューニングしていく視点が欠かせません。

CVR(コンバージョン率)から逆算する予算設計

次に確認すべきが、CVR(Conversion Rate/コンバージョン率)です。これは「広告経由で訪れたユーザーのうち、何%が予約や資料請求といった反響につながったか」を示す指標です。

たとえば:

・目標:3件の予約獲得
・想定CVR:0.3%(=0.003)
・必要クリック数:3件 ÷ 0.003 = 約1,000クリック
・想定CPC:50円
・必要広告費:1,000クリック × 50円 = 50,000円

このように、CVRを軸に必要クリック数を出し、CPCをかけ算することで、必要な広告費が明確になります。

CVRは、ランディングページの質やフォームの簡易さ、訴求文の切れ味によって大きく左右されるため、広告出稿と合わせてLP改善も進めていくことが投資対効果を高める鍵になります。

「目標」と「期間」を先に決めるのが設計の基本

広告費の設計は、“成果からの逆算”が原則です。

「何件の予約をいつまでに取りたいか?」というゴール設定があるからこそ、「そのために必要なクリック数」や「1日あたり必要な予算」が見えてきます。

たとえば:

・目標:10件の予約
・期間:10日間
・必要クリック数:3,300(CVR0.3%)
・想定CPC:50円 → 必要広告費:約165,000円 → 1日あたり約16,500円

このように、“目標→期間→必要数→広告費”の順で積み上げていくことで、感覚に左右されない、戦略的な投資判断が可能になります。

なぜ「逆算思考」が広告設計に不可欠なのか?

広告運用で失敗する多くのケースは、「やってみて、反応が薄かったからやめた」という“試し打ち”に終わってしまうことにあります。

逆に、成功企業は「何を・いつまでに・どう獲得するか」を数字で設定し、予算を根拠づけたうえで、必要なら途中で調整しながら成果を追いかけています。

数字に基づいた予算設計ができると:

・上司・経営層への説明が通りやすい
・広告運用の振り返りがしやすくなる
・成果の再現性が高まる

住宅業界のようにリードタイムが長く、反響1件の重みが大きい領域では、こうした“積み上げ型の計画”こそが最も効果的です。

実践ポイント:まずは仮の数値で“始めてみる”

「CVRもCPCも分からないから動けない…」という声も多く聞かれますが、大切なのは“仮で良いので設定して、まず回してみる”ことです。

・CVRは0.3%、CPCは50円を仮定値とする
・配信後は、週1回はデータを確認して差分を分析
・LPの離脱率や入力完了率もあわせて確認

このように、広告の成果を構造的に分解・改善していくことで、広告設計そのもののスキルも磨かれていきます。

Googleアナリティクスや広告マネージャーなどの無料ツールでも十分に改善サイクルを回すことは可能です。

CVRを左右する要因を見逃さない

広告の効率を大きく左右するのが、LPの完成度です。LPの完成度=CVRと言っても良いでしょう。

反響が思うように得られないとき、真っ先に見直すべきはLPと入力フォームです。

たとえば:

・ファーストビューでの離脱が多い → 「誰向けに、何を提供しているか」が一瞬で伝わっていない
・入力フォームで離脱している → 項目数が多すぎる、エラー表示がわかりにくい
・訴求メッセージが弱い → 価格・期間限定・メリットが曖昧

目安としてCVRが0.3%を下回る場合は、要改善。逆に0.5%を超えてくると、広告費に対する反響効率は大きく改善されます。

広告でいくら集客しても、LPが“落とし穴”になってしまえば意味がありません。入口(広告)と出口(LP)の両方をセットで磨くことが、最大成果を引き出す唯一の道です。

まとめ:予算設計は「逆算」×「改善」で磨かれる

広告予算に“これが正解”という金額は存在しません。しかし、「目標→数値→予算」という逆算プロセスで設計することで、広告施策の成果は再現可能になります。

・出発点は“目標設定”から
・仮のCPC・CVRを使って計算式で試算する
・実配信しながら検証と改善を重ねる

この思考とサイクルを社内で回せるようになれば、広告運用の精度は大きく変わります。

まずは、ざっくりでも構いません。「根拠のある広告予算」を立てるところから、あなたの広告戦略をアップデートしていきましょう。

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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