来場単価を15万円から3万円に下げた方法|住宅会社の集客施策3選

2026.05.08 | ナレッジ

「なぜ集客がうまくいかないのか」その本当の理由

月によって来場数がバラつく。
インスタ広告を回しているのに、以前ほど反応が取れなくなってきた。
チラシも撒いているし、反響には電話もしている。

それなのに、結局何が効いているのかが分からない——住宅会社の集客担当者であれば、こうした感覚に覚えがあるはずだ。

原因の多くは、施策そのものの巧拙ではない。
「1つの施策だけで集客を完結させようとしていること」にある。

見込み客は、広告を見た瞬間に来場予約ボタンを押すわけではない。興味を持ち、情報に触れ、信頼が生まれ、そのうえで行動する——段階を踏んで、はじめて来場という動きにつながる。各フェーズで顧客が触れる媒体も、受け取る情報も、動く感情も違う。インスタ広告だけ、電話だけ、チラシだけという「点」の発想では、どこかのフェーズで必ず顧客がこぼれ落ちる。

住宅会社の集客施策は、「面」で設計するものだ。

本記事では、複数の住宅会社で実際に成果が出ているインスタ広告・電話対応・チラシの3施策について、それぞれの正しい活用法と、組み合わせの考え方を解説する。

① インスタ広告|「運用」だけでは集客にならない

広告と運用は、まったく別物である

 

インスタグラムには「広告」「運用(投稿・フォロワー獲得)」という2つのアプローチが存在する。
この2つを混同したまま、運用だけに労力を割いている住宅会社は非常に多い。

運用とは、施工事例・スタッフ紹介・家づくりのノウハウといった日々の投稿を通じて、フォロワーを増やし、ブランドへの共感や信頼を育てていく活動である。一方、広告はまだ自社を知らない見込み客にリーチする活動だ。両者は役割が根本的に異なる。それにもかかわらず、フィードやリールを投稿していれば集客できる、と考えている会社は依然として多い。

リールに興味を持ってフォローしてくれることで、ブランドへの関心が高まること自体は間違いない。
しかし、「興味を持つ」ことと「実際に来場する」ことの間には大きな隔たりがある。

実際、筆者が支援している住宅会社に、フォロワーが7万人を超えるアカウントがある。さらに別の会社では十数万人のフォロワーを抱えるアカウントもある。それだけの規模があっても、そこから直接来場や予約が発生するかといえば、そうはならない。

来場の大半は、運用ではなく広告経由で獲得しているというのが実情だ。フォロワー数と来場数は、必ずしも比例しない。フォロワーのうち、来場を検討するほどの温度感にある人はごく一部にすぎない。

このギャップを埋める手段こそが広告である。運用を継続しながら、並行して広告をしっかり打つ。これが集客を安定させる前提になる。

広告は「認知」と「刈り取り」を分けて設計する

インスタ広告を設計するうえで重要なのが、認知フェーズと刈り取りフェーズを明確に切り分けることだ。

 

項目 認知広告(中長期) 刈り取り広告(短期)
目的 潜在層に存在を知ってもらう 来場予約・イベント申込の獲得
ターゲット まだ検討していない潜在層 すでに検討している顕在層
手法 施工事例・世界観・人柄など 感情訴求 見学会・限定イベントなど 行動訴求
訴求内容 「こんな会社がある」 「今すぐ来る理由」
成果指標 フォロワー増・第一想起 来場予約数・CPA
注意点 来場に直結しにくい

フォロワー増が目的化しがち

資料請求より来場予約に集中

動線改善が重要

 

認知広告は、まだ自社を知らない潜在層に「こんな住宅会社がある」と印象を残すことを狙う施策である。
施工事例の雰囲気、ブランドの世界観、スタッフの人柄——こうした要素を見せるクリエイティブが効く。

筆者は数十社の住宅会社の広告運用に関わっているが、適切に設計された認知広告からプロフィールに流入したユーザーのうち、約10%がフォローに至るケースも確認されている。

ただし、認知広告には大きな落とし穴がある。
代理店やコンサルから「まずは認知広告を」と提案され、来場を渇望している状況であるにもかかわらず、認知獲得だけを目的にした広告を回してしまっている住宅会社が少なくない。これでは、目先の来場にはほとんど貢献しない。認知は積み上がるまでに時間がかかるものであり、ユーザーが実際に来場するのは「家づくりをしよう」と決めたタイミングに限られるからだ。

認知広告の本来の役割は、見込み客が家づくりを検討し始めた瞬間に、自社が真っ先に思い浮かぶ会社になっておくことにある。

今すぐ来場が欲しい会社は、まず刈り取り広告一本に絞り、来場獲得を安定させる。そのうえで認知広告に広げていく——この順番が現実的だ。

刈り取り広告は、家づくりを具体的に検討している層に対し、来場予約や資料請求といった行動を促すための施策である。

完成見学会やモデルハウスイベントといった「今すぐ動きたくなる理由」を明確に提示することが鍵になる。

筆者が支援している住宅会社では、来場予約数が月2件から8件に伸び、来場単価が15万円から3万円まで下がった事例がある。
ただし、この結果は刈り取り広告を出稿しただけで生まれたものではない。広告クリエイティブの作り込み、イベントページの改善、反響後のフローの整備まで、一連の施策をセットで回したからこそ実現した数字である。

広告を出稿すれば集客できる、という単純な話ではない点は押さえておきたい。

 

クリエイティブがすべてを決める

 

インスタ広告において、ターゲティングや予算配分以上に成果を左右するのが、クリエイティブ——広告の画像・動画・テキストである。
配信設定をどれだけ最適化しても、クリエイティブが刺さらなければ結果は出ない。

住宅会社のインスタ広告で反応が取れるクリエイティブには、共通する要素がある。

「自分ごととして感じられるビジュアル」
「暮らしが想像できる空間写真」
「価格や仕様といった具体的な情報」の3点だ。

ただおしゃれな家を見せるだけでは、他社との差別化にはならない。
「この会社で建てたら、自分たちはどんな暮らしができるのか」——これが直感的に伝わるクリエイティブだけが、来場予約という行動を引き出せる。

 

広告の反応が鈍ってきたと感じたら、真っ先に見直すべきはクリエイティブだ。ターゲティングや予算の調整は、その次でいい。複数パターンを同時にテストし、反応率の高いものへ予算を寄せていく

——このサイクルを回すことが、安定した集客への最短ルートである。

② 電話対応|反響から「5分以内」が勝負を分ける

Webだけでは予約しない層が、確実にいる

「いまどき電話予約?」と疑問に思う担当者もいるだろう。

「自分が電話に出ないから、相手も出るはずがない」と考える人もいる。しかし、ユーザー層はそれだけではない。

たしかに、昔と比べれば電話に出る層は減っている。電話番号を調べ、折り返しの手間までかける必要がある。それでも、電話でアポイントが取れるケースは実際に多い

インスタ広告や検索広告でリードを獲得しても、Webフォームだけでは来場予約に踏み切れない見込み客は一定数存在する。特に、最近住まいに関心を持ち始めたばかりの検討初期層、情報収集を始めた段階の層は、自分から予約ボタンを押す心理的ハードルが高い。

Web予約が当たり前になった時代だからこそ、逆にWeb予約を前に立ち止まるユーザーも一定数残っているのだ。

こうした層に効くのが、電話による能動的なアプローチである。

筆者は数十社の支援を通じて年間1万件以上の架電を行っているが、着電さえできれば、3件に1件はアポイントに転換できるというデータが出ている。

架電スピードが、すべてを決める

架電において最も重要なのはスピードだ。
反響からどれだけ早く電話をかけるかによって、着電率は大きく変わってくる。

架電タイミング 着電率 アポ転換率(着電後)
反響から5分以内(即時架電) 25% 約33%
反響から60分以上経過 12% 約25%
追客(時間経過後のフォロー架電) 10% 約25%

 

反響から5分以内の着電率が25%に対し、60分以上経過してからの架電では12%まで落ちる。差は約2倍である。

これは偶然の数字ではない。見込み客は、同じ時期に複数の住宅会社へ問い合わせていることがほとんどだ。

最初に電話がつながり、かつ会話の印象がよかった会社に流れていく可能性が高い。
さらに反響直後は、各社から立て続けに電話がかかってくるため、ユーザーは最初こそ「話を聞いてみよう」と思っていても、次第に電話自体を煩わしく感じるようになる。
そうなれば、以降は電話に出てもらえる確率が一気に下がる。

初動を早め、「一番手」になること——これが競合との差を生む最大の武器になる。

さらに、架電にはWeb予約にはない強力な利点がある。
事前ヒアリングだ。

反響の段階で直接会話ができれば、家族構成・建築予定地・予算感・検討時期といった情報を事前に押さえられる。
初回接客やモデルハウス案内の場面で、その情報をもとに話を組み立てられるため、来場がいわゆる「あったし案件」——事前情報が揃った状態で臨める商談になる。このヒアリングの有無が、来場後のクロージング精度にもそのまま響いてくる。

なお、追客段階になると着電率は10%程度まで落ちる
ただし着電後のアポ転換率は約25%を維持している。

初回架電のタイミングを逃したとしても、丁寧な追客で取り返せる余地は十分にある。

広告施策と電話はセットで機能する

ポータルサイトを活用している会社では、カタログ請求は発生するものの、そこから来場につながらないという課題がよく起きる。
広告施策によって反響総量を増やすことはもちろん可能だが、年間を通して見れば、どうしても月ごとの波は生じてしまう。

こうした状況で重要になるのが、次の2つの動きだ。

1つは、カタログ請求で止まっている顧客のアポイントを確実に取りにいくこと
もう1つは、カタログ請求からまだ来場に至っていない中長期の見込み客を追客し、来場へ引き上げることである。

電話単体で、広告と同等の圧倒的なアポイント数を生み出すのは難しい。
しかし集客の安定という観点では、電話対応は欠かせない役割を担っている。

広告か電話か、ではない。
両方を徹底して回すことが、住宅会社の集客施策を安定させる鍵である。

 

③ チラシ|「効かない」と思っていたなら、やり方が間違っている

反響率の数字だけで判断してはいけない

「チラシは古い」「デジタルの時代にポスティングは効かない」

——そう考えている広報担当者は多い。
一般的なチラシの反響率が0.01〜0.03%という数字を見れば、そう感じるのも無理はない。

 

項目 業界平均 A社 B社 C社
配布方法 業者 手撒き 手撒き 手撒き
配布回数 1回 2回 2回 2回
配布枚数 10,000枚 1,000枚 2,000枚 170枚
反響件数 1〜3件 2件 7件 2件
反響率 0.01〜0.03% 0.20% 0.35% 1.17%
業界平均との比較 基準 約10倍 約17倍 約58倍
負荷 少ない 多い 多い 多い

 

しかし、筆者が支援する複数の住宅会社でチラシ配布戦略を実施したところ、まったく異なる結果が出ている。

1,000枚配布で2件、2,000枚で7件、配布エリアを絞り込んだケースでは170枚で2件——反響率1.17%という数字が出た事例もある。

これは一社の特殊な成功例ではなく、複数社で再現されている結果だ。

問題は「チラシが効かない」ことではない。
「配り方・配るエリア・クリエイティブが間違っている」だけである。

チラシでしか取れない層が、確実に存在する

デジタル広告では決してリーチできない層がいる。ここを取りにいけるのがチラシの最大の強みだ。

たとえば住宅展示場では、縁日やカブトムシ採集といった子ども向けのイベントが開催されることがある。
そのチラシを見た親が「家づくりにも興味があるし、子どもも楽しめそうだから行ってみよう」と足を運ぶ

—これが典型的な「子が動けば親も動く」の構図である。

子どもの関心をきっかけに、親の行動が促される。この流れとチラシの相性は非常にいい。

デジタル広告は「家づくり検討中」と顕在化した層にしか届かないが、チラシは子育て世帯に対して、住宅とは別の入口から接点を作れる。

 

これは筆者自身の実体験でもある。

筆者はデジタルネイティブの部類で、紙媒体や新聞にはほとんど触れない。
しかしある日、妻から「恐竜のイベントがあるよ」とチラシを手渡され、息子が楽しめそうだと思って実際に足を運んだことがある。
普段チラシをまったく見ない自分がそう動いたことには、正直驚いた。

住宅イベントとは直接関係ないが、子どもが興味を持つ内容であれば、紙媒体は「手渡し」という行為を通じて会話のきっかけになり、「行ってみよう」という意思決定にまでつながりやすい。

チラシに効果がないのではない。
配り方と設計を工夫するだけで、結果は大きく変わる。

デジタルでは拾えない層をチラシで拾い上げる発想が、住宅会社の集客施策の「面」を広げていく。

業者ポスティングと自社手撒き、どちらを選ぶべきか

チラシ配布には大きく2つの方法がある。

ポスティング業者に委託する方法と、
自社の社員が直接手で配る「手撒き」だ。

どちらが優れているかではなく、目的に応じて使い分けることが重要である。
両者の違いを整理すると、以下のようになる。

 

比較項目 業者ポスティング 自社手撒き
手間 依頼するだけで済み、社内リソースはほぼ使わない 社員が配布エリアを回るため、人員と時間がかかる
コスト 1枚あたり数円~十数円の配布料が発生する 人件費はかかるが、外注費はゼロに抑えられる
配布可能部数 数千~数万部規模を一気に撒ける 1日あたり数百部程度が現実的な上限
エリア選定の精度 業者指定のエリア単位で大まかに配布される 商圏の中から「来場見込みの高い地域」に絞り込める
反響効果 配布完了がゴールのため、投函の質にばらつきが出やすい 反響獲得がゴールのため、一軒ずつ丁寧に投函できる

 

業者ポスティングは、広範囲に一気にリーチしたい場合や、認知を広げたい局面で有効だ。
一方、自社手撒きは枚数こそ稼げないものの、配布エリアを狙い撃ちできるため、反響率が桁違いに上がる

先述した170枚で2件・反響率1.17%という事例は、自社手撒きで配布エリアを絞り込んだからこそ出た数字である。

「配布完了」をゴールにするか、「反響獲得」をゴールにするか——この発想の違いが、そのまま結果の差となって表れる。

チラシで成果を出す3つのポイント

チラシで結果を出すための鍵は、

「どこに配るか」
「どのように投函するか」
「デザイン(配色・ロゴの見せ方)」の3点に集約される。

見込み客が集まりやすいエリアを狙い、視認性の高いデザインで制作し、確実に手元に届く投函方法を選ぶ。

この3点を丁寧に設計するだけで、同じ予算・同じ枚数でも反響率はまったく違うものになる。

 

まとめ|3施策を「面」で設計することが、集客安定の唯一の道である

インスタ広告・電話対応・チラシ。
それぞれに固有の強みと役割がある。

インスタ広告は、認知から刈り取りまでの設計力クリエイティブの質が成否を決める。
電話は、反響後の即時対応が競合との差をつくる。
チラシは、デジタルでは届かない層への接点になる。

重要なのは、この3施策が独立した施策ではなく、互いを補完し合う関係にあるという点だ。
インスタ広告で反響を生み、電話でその反響を来場へ転換し、チラシでデジタルが届かない層を拾い上げる。
この流れがそろってはじめて、集客の波が消え、安定した来場数が実現する。

まずは自社の現状を振り返ってみてほしい。
3施策のうち、どれが機能していて、どれが抜けているのか。

その「抜け」を埋めることこそが、住宅会社の集客施策を今日から変える最初の一手である。

 

AUTHOR- この記事の執筆者 -

代表取締役社長
手塚 恭庸
代表取締役社長
手塚 恭庸

住宅業界向けSaaSの立ち上げからIPOまでをCMOとして牽引。
営業・プロダクト・組織設計まで一貫して手がけ、1,000社超の住宅会社のDXと業績改善に貢献。
コロナ禍ではオンライン販売モデルの構築を支援し、デジタル集客・来場・成約までを仕組み化。
「考える力」だけでなく「やり抜く力」を強みに、机上の空論で終わらせない支援を信条とする。
現在はG-Forceの代表取締役社長として、クライアントにとって外部パートナーではなく、“事業の一員”として本気で成果にコミットするサービスを展開。

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